ブラジルの公用語
ほとんどの南米諸国の公用語がスペイン語である中、ブラジルは南米唯一ポルトガル語、正確にはブラジル・ポルトガル語が公用語です。1500年のブラジル「発見」時から19世紀初頭の独立時までポルトガルの植民地であったためでありますが、既に先住民が暮らし、風土も習慣も異なるブラジルで、ヨーロッパ生まれのポルトガル語は独自の変化を遂げました。ブラジル旅行用に会話本を買われる方は、「ブラジル・ポルトガル語」の確認をお忘れなく!
ブラジルで英語は通じる?交通機関の標識は?
ポルトガル語は、ラテン語圏の言葉を学んだことのある方にとっては多少覚えやすい言語です。ただ、旅行前の付け焼刃で勉強しても限界がありますよね。そこで気になるのが、やっぱり「英語は通じる?」という疑問。日本の約23倍の国土があり、人口2億人以上のブラジルでは、そもそも普段の生活で英語を使うことはありません。その点は島国日本と同じで、筆者がブラジルで感じる「外国人観光客の英語がブラジル人に通じる」レベルは、「外国人観光客の英語が日本人に通じる」レベルと同じ程度かな、という印象です。空港や一流ホテル・一流レストランでは英語を話すスタッフがいますが、街中のタクシーや飲食店などのお店では片言を話すかまたはほとんど通じず、都会を離れるとさらに通じにくくなります。
一方、ここ数年のブラジル経済の悪化により、大都会では解雇された、当座の収入を得るためタクシー運転手などに転身したホワイトカラーも多く、時には元技術者や弁護士が運転手ということもあり、皮肉にも英語が通じやすくなったという人もいます。 なお、メトロなど都会の交通機関でも英語併記となりますが、特に地方の交通標識はポルトガル語だけのところも多くありますのでご注意ください。
それでもコミュニケーションできるブラジル
このように、街中では英語が通じにくいブラジルではありますが、コミュニケーションできるか?という点では、はるかに日本よりブラジルに軍配があがります。言葉がわからなくても、なんだかんだとお世話好きで親切なブラジル人。外国人に対しても分け隔てなく理解してくれようという姿勢があります。身振り手振り、単語の組み合わせで気づけば会話が成立、お互い笑顔でさようなら~ということが往々にしてあります。シャイで見知らぬ人を警戒してしまうこともある日本人とはちょっと違いますね。ちなみに、ブラジル移民した日本人とその子孫である日系人のおかげで、ブラジルは世界有数の親日国です。日本人です(男性の場合:Sou japonês ソウ ジャポネス/女性の場合:Sou japonesa ソウ ジャポネーザ)と言うだけで、会話がさらに盛り上がることは間違いないでしょう。
ブラジル人の英語教育事情
ブラジルは日本の小・中学校にあたる6歳から14歳までが義務教育期間で、貧しい子供は学費が実質無料の公立学校へ通い、中所得者層以上であれば有償の私立学校へ通う傾向があります。英語の授業は、公立・私立関係なく、初等教育の6年生(11歳)から中等教育3年生(17歳)が一般的。英語教育の質は、教師陣やカリキュラムの点で私立学校がはるかに充実しているといわれますが、実践的な語学を学ぶには十分とは言えないようです。 大国に暮らすブラジル人でも、一度海外へ出ればやっぱり英語が必須という事実は、富裕層ほど身をもって知っています。一流大学への進学率が高いサンパウロのエリート高校の生徒でも、高額な授業料を払って語学学校へ通い、英語をマスターしているそうです。なお、民間の語学学校は、ほぼ全州で約180校を展開するCultura Inglesaの他、Alumni、Cellep、Berlitz、Wise UP、Wizardなど無数にあり、スペイン語や他言語クラスも持つ語学学校も少なくありません。
旅で役立つブラジル・ポルトガル語の超基本フレーズ
ありがとう男性が言う場合:Obrigado オブリガード
女性が言う場合:Obrigadaオブリガーダ
はい
Sim スィン
いいえ
Não ナォン
ください
Quero ケーロ
いりません
Não quero ナォン ケーロ
お願いします
Por favor ポル ファボール
どこ?
Onde? オンジ?
街中で英語は通じなくても、大らかなブラジル人の優しさに触れながら、現地の人々とコミュニケーションを楽しめるブラジル。その魅力に取りつかれ、ブラジル大ファンとなって帰国する旅行者は数知れません。片言のポルトガル語はブラジル人との距離をさらに縮めてくれます。旅行の際はぜひ簡単なポルトガル語をマスターし、ブラジル人に話しかけてみてくださいね!