日本はグローバル化への反応が鈍い! |
グローバリズムと日本の特殊性
ガイド:現在国際コンサルタントとして、まさに世界を股にかけて仕事をされていらっしゃるわけですが、急速に進むグローバル化の中で日本をどのようにご覧になっていらっしゃいますか?ショーンKグローバリズムといっても、これはアメリカン・スタンダードという一つのスタンダード・基準の普及ということですから、これが進むと、当然それぞれの国の制度、文化、伝統が危機にさらされることになります。ですから、自国を守る、保守的な傾向が強まるのが極自然な流れなのです。これはどの国でも同じで世界的な傾向として自国を守る政策が講じられてきています。ただ、私が知る限り、世界でも日本だけが、この意識が不思議なくらい薄い。
例えば、私はM&Aに関連した仕事もしていますが、フランスや、ドイツで言うと、フランス国籍の企業、ドイツ国籍の企業を買収するには、必ず政府の許可が必要な制度にしている。政府の許可が必要であるということは、つまりは、買収は勝手にできないということなんです。ところが、日本にはそういった制限はほとんど設けられていない。また、教育でもグローバリズムにより、自国の歴史をより自国よりに見直す傾向も出てきている。こういったグローバリズムから生まれる当然の現象が日本では現れるのが非常に遅いというのが、私の印象です。
ガイド:どうしてそういった現象が出にくいのだと思われますか?
ショーンK:一つは、「アイデンティティー」が関係していると思います。国際社会では、自己が確立されていることが、何より大切です。自分が誰かという認識がしっかりしていないと、国際社会では相手にされないんです。そのためには、自国のことをしっかり勉強しておくことが必要です。例えば、靖国問題についてもきちんと自分の意見を英語で答え、説明できなければいけないんです。日本人であるというというアイデンティティーが薄れてきていることにその原因があると思います。
アメリカにいる日本人によくある傾向ですが、すっかりアメリカ人になってしまっている人が多い。これでは、日本人である意味がない。逆に日本人であるというアイデンティティーをしっかり持っていたほうが、アドヴァンテージが得られ、その人自身の存在価値が生まれてくると思います。