入試優遇見直しも?「漢検」立ち入り調査の波紋
この2月、ある意味、最も注目された検定試験と言えば、何と言っても「漢字能力検定(漢検)」でしょう。もっとも、皆さん既にご存知のとおり、話題になったのは試験そのものではなく、「漢検」を主催する財団法人日本漢字能力協会の運営について。公益法人としては破格の利益が指摘され、文部科学省の立ち入り検査を受けるなど、その利益の行方も含め、今なお、その運営に疑問の声が続いてます。
こうした事態を受けて、敏感に反応したのが教育機関。
実は「漢検」は、入学試験の際、内申点の加算対象となるなど、高校、大学といった多くの教育機関を中心に評価が高く、最近の受験者急増の要因のひとつとなってきました。
しかし、主催団体への立ち入り調査という、「不名誉」な事態に、その運営に疑念を持つ教育機関も出てきており、東京都の日本大学第一高校など、「漢検」の成績による優遇措置を見直す動きもあるとか。
今や大学・短大だけで490校にも及ぶという「漢検」による入試優遇措置ですが、今後の成り行き次第では、「見直し」に追従する教育機関が出てくる可能性は否定できません。
英検試験、担当教諭が問題を事前に「ほのめかし」
こちらも「漢検」同様、特に教育機関を中心に、根強い人気を集めている語学検定「実用英語技能検定(英検)」。学校が会場となり、学生に団体受検させるケースも多いのですが、この「英検」試験を巡って、とんだ「不正」が明らかになりました。問題となったのは、東京都の私立郁文館中学と高校で、平成14年度までに実施された試験。
報道によれば、同校の3人の英語教諭が試験実施にあたり、試験問題を事前に開封、その正答を同校の受験生に「ほのめかし」ていたとのこと。こうした不正は数年にわたって行われていたようです。
今後、「英検」を主催する日本英語検定協会による更に詳しい調査が実施され、学校側の処分を含め、対応が決められるそうですが、教育機関としてのモラルの低さが問われることは間違いありません。
そういえば、今回同様、特定の集団を対象に資格・検定試験問題の情報漏えいが行われたでケースでは、過去にトヨタの関連会社で「自動車整備士技能検定」の試験問題の情報が、事前にトヨタ社内に漏洩したという問題がありました。
また「英検」に関して言えば、これは団体受検ではありませんが、かつて2次試験の問題が、試験時間中に「2ちゃんねる」上に流出したという「事件」も……。
「不正」をする側が厳しく罰せられるべきは当然ですが、主催者側にも「不正」をさせない対策の徹底をお願いしたいところです。