法科大学院修了でも就職難?!どうなる・法曹界「2007年問題」
華々しいスタートを切った新司法試験「法科大学院」制度でしたが、先月お届けした「現役大学院教授の考査員委員兼務問題」(※参考:現役大学院教授の考査員委員兼務問題で、揺れる新司法試験)をはじめ、あまり「華々しい」とは言えない話題ばかりが取りざたされています。特に、新司法試験での弁護士デビューを目指す方々が気になるのが、法曹界の「2007年問題」。通常「2007年問題」と言えば、団塊の世代の方々の大量定年退職を機に起こることが予想される「人材不足」を指しますが、この場合は、まったく逆。
実は今年2007年は、初の「法科大学院修了」合格者約1000人が、1年間の司法修習を終え、いよいよ就職活動を行う年。旧試験での修習修了者約1500人を併せると、約2500人もの就職希望者を輩出することになります。
一方の採用数は、というと、裁判官や検察官への任官は通常全体の1割弱程度。残るは、弁護士での採用に期待がかかるところですが、日弁連がまとめた修習生の就職状況調査の結果によれば、100~150人の弁護士志望修習生が未だ就職先未定であることがわかっています。
この就職難、例年の合格者が500人程度だったことを考えると、ある程度予測できたことではあるのですが、法曹人口を増やす方針に基づいて年々合格者が増加傾向にある司法試験「ブーム」、もう一度考える必要があるのではないでしょうか。
とは言え、「捨てる神あれば拾う神あり」(?)。
試験制度変更で、弁護士数が大幅に増加することになれば、コンプライアンス徹底を目指す民間企業のニーズも増える、と考えた人材紹介会社も登場。
8月29日に設立されたC&Rリーガル・エージェンシー社は、弁護士に特化した人材紹介会社として、民間企業の弁護士採用や、弁護士の転職支援を行うんだとか。
今後、「弁護士を欲しい企業」「仕事が欲しい弁護士」を結ぶこのようなビジネスが台頭してくれば、弁護士の「就職難」も好転するのかもしれませんね。
ともあれ、「仕事に活かせる資格」として確固たる地位を獲得しているように思える「司法試験合格」ですら、仕事に活かすまでには多くのハードルがあるんですから、現実って厳しい!