2005年12月の注目ニュース
ニュース: 職業倫理の欠如?資格の世界にも会社ぐるみの“偽装問題”が勃発?! |
■概要
“建築強度偽装問題”に揺れた2005年年末。資格の世界でも、会社ぐるみが疑われる“偽装問題”が明らかになりました。三菱重工業神戸造船所社員による「監理技術者資格」の不正取得です。
監理技術者資格とは、(1)国、地方公共団体等が発注する工作物に関する建設工事を直接請け負い(2)かつ、そのうち3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)以上を下請契約して工事を施工する場合(公式サイトより)に配置が義務付けられているもので、建設業界では無くてはならない国土交通省認定の資格。今回発覚したのは、建設業法で定められた取得要件(指導監督的立場での実務経験2年以上)を証明する「実務経験証明書」への虚偽記載で、同社で1996年から2004年の間に資格取得をした28名分に上ると見られています。今のところ同社は、「虚偽記載」は故意ではなく、社員本人の記憶違いや照合作業のミスとして、該当する社員の資格者証の返還などの処理を行なっていますが、監督官庁である国土交通省では、この“偽装”が組織的なものではないか、調査を続行中です。
一方、厚生労働省所管の大型機械「数値制御フライス盤」技能検定では、トヨタ自動車系部品メーカー大豊工業社員による不正が明らかになっています。
数値制御フライス盤は自動車部品の金型を作る大型機械で、プログラムを入力することにより、自動的に金属を加工することが可能。したがって同検定では、指定されたデータをもとにプログラムを作成、入力、加工までのプロセスが評価対象となります。この試験問題が事前に漏洩、試験当日に入力されるべきプログラムが、試験以前に入力済みであったことが判明したのです。この不正により、同社社員の5名が合格取り消し。5名が1994年から2000年の受検者であることから、長期的、会社ぐるみの不正を疑われても止む無し、という状況です。
特に後者の例では、同社は試験会場でもあり、同社社員が試験監督でもあったとか。仮にこれが会社ぐるみだとしたら、検定制度に対する重大な裏切りと言っても過言ではありません。不正を防止するための試験制度の整備と共に、様々な問題を孕んだニュースと言えるでしょう。
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