なぜ、「医師免許更新制度」実現が、その他の国家資格や民間資格にまで影響を与える可能性があるのでしょうか?
理由は、医師という職業、医師免許という資格の特徴にあります。
◆医師・医師免許の特徴
(1)常に新しい技術、知識の習得が求められる分野である (2)人の生命や生活に影響を与えるような責任が伴う (3)世間的に「難関資格」のイメージが定着している (4)資格試験の合格率は高め(9割以上)である |
この特徴こそが、他の資格が「医師免許更新制度」を追随せざるを得ない要因となります。
(1)常に新しい技術、知識の習得が求められる分野である
医療分野の技術の進歩は目覚しいものです。だからこそ、医師には免許取得後も新しい技術、知識の習得が求められますが、これは医療分野に限ったことではありません。
たとえば、進化の早いIT系の資格や次々に行われる法改正に対応しなければならない法律系の資格にも、同様のことが求められるはずです。
したがって、現在はまだ更新制度が無い資格(例:社労士、行政書士、司法書士など)にも、常に最新のスキル、知識を所有しているかどうかを証明できる「更新制度」を導入する必要性が出てくるでしょう。(同様の特徴を持つ民間資格、FPやDCアドバイザーには既に更新制度があります)
(2)人の生命や生活に影響を与えるような責任が伴う
医師は、言うまでもなく人の生命を預かる仕事。そのために常にスキルアップに努め、その責任を果たす必要があるわけです。
同じような責任が伴う資格には、その他の医療系資格はもちろん、企業経営に助言を行う中小企業診断士(更新制度あり)などがあります。
(3)世間的に「難関資格」のイメージが定着している
(4)資格試験の合格率は高めである
実は、「医師免許」には相反する2つの特徴があるのです。
医師と言えば、なるのが難しい職業の代名詞。これは主に「医学部進学」の難しさと入学後の学習のハードさを指しています。一方で、この難関をクリアできれば「医師国家試験」自体は合格率9割超という「受かりやすい」資格試験でもあります。
それゆえに、「あの難関の医師免許でさえも更新制になるのだから、他の資格にも更新制度があってあたりまえ」という見方と共に、「合格率が高い資格では、取った後のメンテナンスが肝心」という見方が生まれる可能性が出てきます。
これらを全て総合すると、どんな資格も何かしら上記の条件に当てはまることになってしまいそうですね。
このように「医師免許更新制度」実現すると、どんな資格も大なり小なりの影響を受けないわけにはいかなくなる可能性が十分というわけです。
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いぬかいの大予測、いかがですか?
「資格は取ってからが肝心」でもお話したとおり、「更新制度」がある資格では、否が応でも「資格を取った後」の勉強が必須となります。
しかし、これまでも自発的にスキルアップに励んできた方にとっては、「更新」というきちんとした裏づけができる分、資格の精度が上がると考えることもできます。
一方で、こうした資格メンテナンスには更新料を含めるコストと時間がかかりますから、今持っている資格やこれから狙う資格に「更新制度」が無くても、いずれ「更新制度」が導入される可能性も視野に入れた取得プランニングの必要性も出てくるでしょう。
いずれにしても、まずは「医師免許更新制度」導入の行方から目が離せませんよ!