2001年12月、看護婦・看護士という名称を、看護師に統一するなどの名称改定などを決めた法案「改正保健婦助産婦看護婦法」が国会を通過しました。施行は今年の春頃と思われます。
職業における男女差別を無くすのは大変良いことだと思うのですが、この法案については、女性の側から逆に差別の助長だという反対の声も上がっていました。一体何が問題なのでしょうか?
今回の法案の対象になった資格は、看護婦(士)、保健婦(士)、準看護婦(士)そして助産婦です。
それぞれ、婦が付くのが女性が取得する資格名称で、士が付くのが男性というように、これまでは性別によって資格の名称が異なっていました。
それぞれの業務内容
名称 | 業務内容 | 資格取得の要件 |
看護婦(士) | 医療現場における医師の補助など | 高校卒業後、指定された学校における3年以上の学習、養成学校の卒業、免許を得た後3年以上業務に従事している準看護婦(士)など |
保健婦(士) | 保健所、学校などで健康診断を行う、保健指導を行うなど | 看護婦(士)資格所有者で、指定された学校での6ヶ月以上学習など |
準看護婦(士) | 医療現場における医師の補助など | 中学卒業後、指定された学校における3年以上の学習、要請学校の卒業など |
助産婦 | 妊産婦への保健指導、分娩時の介助など | 看護婦(士)資格所有者で、指定された学校でのヶ月以上学習など |
問題になっているのは助産師
実際には、看護師、保健師などの名称に対して意義を申し立てている人はいないようです。
問題になっているのは「助産師」なのです。助産婦は、れっきとした国家資格で、上の表にあるとおり看護婦相当の知識・経験を持ったうえで、さらに助産婦の試験に合格しなければ資格を得ることはできません。
看護婦資格には看護士という男性用の資格が用意されているのに、助産婦にはそれが無く、事実上女性専用の資格でしたが、これが性差別だとされたのです。
しかし、助産婦が女性専用資格であったのにはちゃんとした理由があります。ここで述べるまでもないと思いますが、お産のときに、赤の他人である男性がこれを眺めるのを心地よく思う女性が居るとは思えません。また、夫人が同じ目に遭うのを男性は黙ってみて居られるのでしょうか?
そう考えると、確かに女性の権利というか男性にとっても人権の問題だというのは一理あると思います。
ただ、反論もあります。お産は病気ではないとはいえ、産婦人科医が立ち会うのも普通のことです。この産婦人科医は女性とは限りません。なぜにお医者さんなら男性でも良くて助産婦(師)はだめなのか?こう聞かれると返答に困りますよね。
そもそも、この法案を提出しているのは、南野千恵子、沢たまきといった女性議員なのです。
情けない話ですが、私はこの問題についてはどうすべきなのかよく分かりません。法律は変わってしまったのですから、いずれは男性の助産師が現れるのでしょう。月日とともに、それはそれで受け入れられてゆくのかも知れません。
ところで、一つ面白い事実に気づきました。同じく厚生労働省が関わっている資格に「救急救命士」がありますが、「救急救命婦」という名称は用意されていないのです。これもいずれは差別だとして問題になるのではないでしょうか?
「資格」ガイドサイト内の関連サイト
医療・福祉関連の資格公式サイト
人助けに役立つ資格
助産師問題関連サイト
男性助産師関連サイト(リンク集)