2日間にわたる講習は無料で、資格者証の発行手数料もなし。テキスト代(約5000円)だけが必要だが、これも持っている人から借りれば不要。そんな資格がこの「防火管理者」なのです。
消防法では、劇場・大規模店舗・集合住宅など多くの人が集まる場所の防火管理を行うためにこの「防火管理者」資格を持った人の中から「防火管理者」を選任し、消防計画の立案や防火管理全般の業務を行うことが定められています。
筆者はこの防火管理者資格を取るための講習会に参加し、見事に防火管理者証を手に入れました。その時の体験を述べたいと思います。
受験体験記
時は平成12年夏。場所は都内の某消防署の最上階でした。
私の他、集まった男女は約40名。年齢層も幅広く、20歳頃から上は60台後半とおぼしきおばあさんまで。
講義の内容は、スライドを使った火災に関する基礎知識や、消防法の勉強など。実際にあった防火管理の不充分な建物における火災に関するビデオ上映もあったと記憶しています。
退屈な講義もありますが、実際の火事の恐怖を繰り返し聞いていると、自分の住むマンションや、事務所だけはこんなことが起こらないようにしようと思うようになってきます。具体的には、火災検知の仕組みやスプリンクラーのような火災を消しとめるための装置を設置することだと教わります。
座学だけだと退屈なのは消防署の人も知っているからでしょう、途中で実際の消防用ホースを持ってみる練習もあります。
最後に簡単なテストがあるのですが、これは講義の内容をまじめに聞いていればまず落ちることのない簡単なテストです。
テストに合格した後、教室でしばらく待っていると各自にあらかじめ渡してあった写真付きの「防火管理者証」が手渡されます。待ち時間の短さから推して、この証明書はテストの合否を確かめる前から作成されていたものと思われます。
こうして手にした「防火管理者証」を持って帰る道すがら、同じ道を歩いて駅に向かう人に話しかけてみたところ。彼は住んでいるアパートの防火管理者に任命されたため、この資格をとりにきたとのこと。
かくいう筆者も、自らが勤めるオフィスの防火管理者に任命されたのがこの資格取得の動機でありました。今も防火管理者として、年に一回の共同防火管理会議にはちゃんと出席しております。職場の防災隊長でもあり、自衛消防隊を組織して、万が一に備えているのです。
そういえば、最後のテストの後で簡単なアンケートがあったように思います。そこには防火管理者講習参加の目的を書く欄がありました。もちろん職場で必要とかそんな選択枝に混じって、「勉強のため」というものもあったと思います。もしかしたら、消防署も、無料なのをいいことに資格だけ取りに来る人が居るのを知っているのかも知れません。