2006年は戌(いぬ)年です!
戌年と干支の基礎知識
2006年は戌年ですね。年賀状のデザインに愛犬の写真を使ったり、犬のイラストをあしらっている方も多いのではないでしょうか?干支は中国から日本に伝わってきた習慣ですので、来る戌年にちなんだ雑学的トリビアをご紹介しましょう。干支についての基礎知識と、「あなたは何どし生まれですか?」の中国語表現については別記事『読んでみよう!?中国語の十二支? 今年の干支は…何どし??』をどうぞ!
「戌」の意味するもの
「戌」とは、十二支の十一番目。時刻では今の午後8時(その前後2時間が戌の刻)。方角は西北西。十二支には12の動物があてはめられ、日本でも暦の上だけでなく時刻や方角にも使われていました。なぜこの動物が選ばれたの?なぜ戌が西北西なの?という疑問が当然湧いてくるところです。この点についてはいろんな伝説や物語、昔話があるのですが、夢のない言い方をしてしまうと、動物になぞらえると誰もが(小さな子供でも)覚えられて便利だったから…というのも大きな理由のようです。酉年にちなんだ記事で『酉という漢字に鶏という意味はない』ということをご紹介しましたが、さて「戌」はどうでしょう?
忘れ去られてしまった戌
「戌」は会意文字です。もとは刃物で作物を刈り、ひとまとめに締めくくる様子、つまり収穫することを意味する漢字でした。ところが十二支の漢字に選ばれたため、もともとの意味は完全に忘れ去られました。中国語の【戌】[xu1]にも、十二支の示す意味しかありませんし、日本語でも「戌」は最初に挙げた意味でしか使われていません。「酉」の場合は、「酒」などの漢字で本来の意味がわずかにしのばれますが、戌に関してはその片鱗を感じさせる言葉はもう全然なくなってしまったのではないでしょうか(もし見つけた方やご存じの方がいらっしゃればぜひ教えてください)。
「戌」という漢字には、もともと犬とは関係のない漢字だったにもかかわらず、何の因果か十二支に選ばれてしまったばかりに、本来の意味が忘れ去られてしまうこととなったのでした…。でも、気のせいか「戌」って、犬がはしゃいでいる姿に見えませんか?右側で撥ねている部分が尻尾に見えたりとか…。
1月2日は「犬の日」!
中国では、正月は1日から7日までにそれぞれ動物をあてはめ、あてはめられた動物の絵を飾り、その動物を殺さないようにするという習慣があったと中国の古い文献に記録があります。1日は鶏(とり)、2日は狗(いぬ)、3日は猪(ぶた)、4日は羊、5日は牛、6日は馬、7日は人(刑罰などを行わないという意味)です。他の説として、1日に晴れるとその年は鶏がよく育ち、2日に晴れれば犬がよく育つ…というふうに、対応する動物の成長を占い、8日は穀物の日で、この日に晴れれば豊作というように、その年の農作物を占う習慣があったとも言われています。
犬は中国で大人気!
中国では、ただいま空前のペットブームが来ているといわれています。現在北京だけで70万匹の犬がペットとして登録されているそうです。そう、中国では誰もが無造作にペットを飼えるわけではなく、所定の手続きをして登録しなければいけません。昔は、北京など中国の都市部では犬を飼うことは禁止されていました。ところが、1990年代に入ると、高所得者層を中心に犬を飼う家庭が急増します。禁止しきれなくなった当局は、5000元の登録料を支払って届けられた犬だけをペットとして飼うことを許可することにしました。1995年に、大型犬の飼育は厳禁となり、飼えるのは体長35センチ以下の小型犬のみとされ、犬種も22種類と限定されています。
誰もが気軽にペットを持てる日本と比べると、ずいぶん厳しいように感じますが、無責任な飼い方をしたり勝手な都合で犬を捨ててしまう飼い主がいたりすることを考えてみると、登録制にするのも1つの方法かもしれません。
中国で愛犬家になるにはお金がかかる!
さて、その登録料5000元ですが、とてつもない高額です。別記事『中国を舞台に仕事する!?ライブドア? ライブドア&中国でキャリアUP!』にちらりと中国の人の平均的な月収が話題として出てきますが、それと照らし合わせて日本の我々の生活の中でイメージすると、犬の登録料のために冬のボーナスを全部使ってしまわなければいけない感じです。とすると……。お金はナイ……でも、犬は飼いたい……という人も当然出てきます。そんな人は未登録のままコッソリ……でも、バレてしまえば最後、愛犬と引き裂かれてしまうことになってしまいます。
そんな人が主人公の中国映画があります。
愛犬「カーラ」を未登録で飼っていたことがバレてしまい、けれども高額な登録料が払えない…さてどうしよう?と奮闘するお父さんが主人公です。戌年にちなんで、犬を愛するお父さんの映画をお正月に観てみてはいかがでしょうか?
この高額な登録料も2003年秋には1000元に減額されました。それでもまだ高額ですが、5000元と比べるとかなり安くなりましたね。高額な登録料を払われて、大切に飼われている犬が北京だけで42万匹。急成長する中国経済の勢いを、こんなところにも感じますね。
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