パリ/パリの美術館

オランジュリー美術館/パリ(2ページ目)

2006年5月、6年間の大工事を終えて遂にリニューアルオープンしたオランジュリー美術館。天井をガラス張りにすることにより、再びモネの睡蓮を自然光で鑑賞できるようになりました。

野口 裕子

執筆者:野口 裕子

フランスガイド

自然光が奪われたモネの睡蓮

ここで問題になるのが展示する場所です。当時地上階にモネの睡蓮の間を設置していた美術館は、その上階に新しいコレクションを展示する事になり、結果光を差し入れる天井を塞ぐことになってしまいました。以降、自然光で鑑賞するべき睡蓮は人工の光により照らされるという状態が約30年続くことになります。

オランジュリーの「スター」、
"Les Nympheas"(レ・ナンフェア/睡蓮)

セリーヌ
今回案内してくれたフランス国立美術館プレス担当のセリーヌさん
本来あるべき睡蓮の展示に戻すべく、2000年、美術館は遂に工事に着手することに。上階にあったギヨーム氏のコレクションをそのまま地下に移動し、天井をガラス張りにすることにより、モネの睡蓮に再び光が差し込む設計になります。

当初は3年で完了する予定でしたが、結果的には倍の6年の歳月を経て2006年5月に待望のリニューアルオープンに至ります。

 

ダイエット
柳がテーマのもう一つの睡蓮の間(c)Jean-Christophe Ballot
睡蓮の間は2つの円形の部屋から成り、4枚ずつ計8枚の絵が展示されています。それぞれの絵には「朝」「緑の輝き」「雲」「沈む太陽」「明るい柳の朝」「2つの柳」「柳の朝」「木の輝き」とタイトルがつけられています。モネは直接風景を見ながらこの睡蓮を描いたのではなく、一度写真に撮り、それをジヴェルニーのアトリエで描き起こすという作業を繰り返したそう。よって写実的ではない、自然光による効果も手伝ってかどこか幻想的で、見た後もずっと心に残るような作品になっているのです。

 

ルソー
ルソーの「婚礼」も間近で見られる(c)Jean-Christophe Ballot
更にオランジュリーの素晴らしいところは、大きすぎないその規模と、ほぼ画家ごとに作品配置されている館内のシンプルなレイアウトにあります。ルーブルオルセーなどの大美術館のように、そのあまりの大きさに全ての作品を見終わる時には身も心もぐったりと疲れてしまい、せっかくの素晴らしい作品が色褪せて見えてしまうことも、ここではありません。ゆっくりと心ゆくまで作品たちを一つ一つ堪能できるのです。まさに「癒し系美術館」といえるのではないでしょうか。

<DATA>
Musée de l'Orangerie
住所:Jardin des
TEL:01 44 77 80 07
アクセス:Concorde(メトロ1、8、12)から徒歩2分
開館時間:9:00~18:00
休館日:火曜、5/1、12/25
入館料:7.5ユーロ、毎月第一日曜日は無料
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