パリの高等美術学校に通う写真家の卵アリエール、ヴァカンスを利用してアルル周辺をさまよううちはや1週間が過ぎ、さすがにバッグの中は撮りだめたフィルムと洗濯物でいっぱい、とりあえずコインランドリーを見つけようとアルルに戻ります。そして、そこで出合ったカップルは・・・
INDEX
■コインランドリーは旅行者の社交場
■ヒッチハイク?!
■白馬にまたがるなんちゃってお姫様
■サンクチュアリーは排ガスフリー
■砂州を越えて対岸へ
■乗馬、サイクリングお役立ち情報
■コインランドリーは旅行者の社交場
ふー、パック担いで3キロはつらいわあと思ったら久し振りのアルル駅が見えてきたやれやれ。たしかロン・ポワンのすぐ向こう、ゲートをローマ時代の闘技場に向かって抜ければすぐに右手にコインランドリーがあったはずなんだけど、あ、あったあった。
いつも旅に出るとコインランドリーが楽しみなんだ。衣類がさっぱり気持ちいいのはもちろんだけど、旅行者がけっこう来るんだよね。で、必ず皆暇だから面白い体験話や貴重な情報交換に話の花が咲いて楽しいの。フランスのコインランドリーって説明がフランス語でしか書いてないから教えてあげると話のきっかけになって・・・、あれ、なんだここって珍しいよ、日本語で説明が書いてある!
お、やっぱり困ってるカップルがいる。
「やあ、こんにちわ。やりかたがわからないの?」
「うん、どうにもトリッキーで訳わかんないよ。コインはどこに入れて洗剤はどうすればいいんだろ?」
「だよね、わたしがやるから見てて。」
■ヒッチハイク?!
なにしろ英語の説明がないから旅行者はみんな困っててけっこう人助けになるんだ。てなわけで洗濯が始まっちゃうとこれが暇なんだよね。
「ねえねえ、どっから来たの?」
「チェコ。夏休みだから彼女と一緒に2ヶ月の予定で旅行に出たんだけど。」
「じゃ、学生なんだ?」しかもびっくりしちゃった、二人ともプラハの芸術大学生。彼は写真専攻、彼女はまだ専攻が決まってないんだけどリトグラフ専攻志望だって、話が合いそう。で、この子達ってすごいの、移動はすべてヒッチハイク。費用は途中でアルバイト、やるわね。でも英語はできるんだけどフランスじゃ通じないのでまいってるんだって。たしかに田舎じゃ仕方ないよね。
「ところでアリエール、おれたち明日はカマルグでアルバイトついでに馬に乗ろうって思ってんだけどどう、一度いっしょにヒッチしてみない?」
ヒッチかあ。じつはちょっと興味はあるんだけど女の子一人じゃ危なくて、でもあの子達も言葉でまいってるみたいだし試してみるか。
「いいわよ、あたしが通訳になるわ。じゃ、明日の朝N113のインター前で会おうよ。」