防犯/防犯小説

ミセスの危機管理ナビ~少女の危険な夏休み(4ページ目)

子どもが持つ携帯電話について大人の考え方はどうなのか。春彦の姪・紗希が遊びに来たことで話し合う。様々な危険について伝えている矢先、紗希の友だちから来たメールに麻季子たちは不安を覚える。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

写真を送る少女

「友だちのことを批判したり欠点をプロフに書いたんだ。言葉は活字や文章になると相手に与える力が違うだろ」
「書かれた本人がそれを見たらショックだし、傷つくでしょう? それにメールで怖いのは一度送ったら取り戻せないことよね。いつまでも残るし。後で送らなければよかったと思ってももう遅いでしょ。喧嘩して、『もうあなたなんて嫌い』って送られてきたらどう思う?」
「うん。すごいショック」

悪い人?
悪い人?
「あとね、知らない人とつながることができるのは楽しいかもしれないけど、携帯電話では相手が見えないでしょ。たとえば、同い年の女の子と知り合ってお友だちになったとしても、その子が本当に同い年かどうか分からないでしょ?」
「えー、だって子どものサイトは子どもしか見ないでしょう?」
「世の中にはね、ウソを平気でつく人がいるのよ。悪い人が子どもに悪いことをしようとして子どものふりをしてサイトに来るの。たとえばね、同じ年の女の子で~すってことでも、本当はその子は大人の男の人かもしれないのよ」

春彦はすっかり麻季子に話すのをまかせて、うんうんとうなずいている。紗希は納得がいかないような顔をして言った。

「えー? そんなのヘン」
「携帯の画面だけでは相手の顔も見えないし、相手が誰か分からないでしょ? そういう悪い人は子どもをだますことが上手だから、色々と聞き出すこともするのね。ケータイにハマっちゃうと、つまりクセになってしまうとね、ついケータイには素直に書いてしまうかもしれないでしょ。だけど、ある日突然、相手が変わっちゃうのよ」

「どんなふうに?」
「いきなり『裸の写真をケータイで写して送れ。そうでないとお前のことをみんなにバラすぞ』とか、『家まで押しかけるぞ』とかメールが来たりするのよ」
「え~、やだ。なんでー」
「最初は顔が見えないから、ウソをつくのは簡単でしょ。で、突然、そんなことになったら怖いでしょう? そうやって怖くなって写真を送ってしまう子もいるようなのよ」

「うん……。おばさん、あのね、友だちの美里ちゃんってクラスで一番体の大きい女の子なんだけど、さっきのメール、その美里ちゃんからで、この夏休みに新しく知り合ったメル友の男の人と写真交換するんだって。それって危ないこと?」
「ええ? もう送っちゃったのかしら? それ、止めさせないと」
「そうだ。それは危ないぞ。その写真がどう使われるか分からないじゃないか」
「使われるって、どんなふうに?」

紗希は不安そうな顔で麻季子と春彦を見た。


この記事は前・後編【全2回】でお送りします。次回後編、「ミセスの危機管理ナビ~」は8月26日(火)にアップします! お楽しみに♪

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