姪の携帯電話
女の子の携帯電話 |
「それにしても紗希ちゃんがもう中学生とはね」
「子どもの成長は早いというけれど、本当にアッと言う間ねえ。ついこの前小学校に入学したと思ったのに。あ、紗希ちゃん、おかわり?」
「うん。麻季子おばさんのご飯は美味しいね。うちのママも上手だけどもっと美味しい」
「あら~嬉しい。たくさん食べてね。でも、お兄ちゃんは来られず残念ね。塾だって?」
「うん。中3だからね。ママのほうがなんかすごいよ。教育ママ」
「フフ。それはちゃ~んと子どものことを考えているからよ」
「でもママがお兄ちゃんばっかりになってるから、今はわたしのことはあんまりうるさく言わないから気楽なんだけど」
「だからって紗希ちゃんのことを考えてないわけじゃもちろんないわよ」
「うん。この間、ケータイも買ってくれたしね」
「ええ? 携帯電話持ってるの? 中学1年生で?」
「だって、みんな持ってるもん」
春彦がめずらしく口を挟んだ。
「みんなって、クラスの子全員じゃないだろう?」
「うーん。全員じゃないけど。でもわたしの友だちはほとんど持ってるよ」
「じゃあ、みんなとはいえない。何人くらいだ?」
「えっと、クラスで5~6人かな。あ、もっといるかも。学年ではもっとたくさんいるし」
「中学校では携帯電話を禁止していないのか?」
「特に決まりはないよ」
そう話している間に、紗希の携帯電話からメール着信のメロディが鳴った。紗希が食事をそっちのけでメールの返信をしようとすると春彦が制止した。
「食事中は止めなさい」
「うん、でもすぐ済むから」
「止めなさい」
「だって、すぐ返信しないと友だちが怒るかもしれないもん」
「あー? おじさんが言うことより友だちのメールが大切なのか?」
「あなた。子どもを相手に大人げない」
紗希はまたたくまにメールを打ち返していた。
→p.2……・携帯電話の是非
→→p.3……・危険を教える
→→→p.4……・写真を送る少女