女性の防犯対策を知る!
私にも見せて |
「ふんふん。そうか。なるほど。へえ~」
「ちょっと、さとみ。自分だけわかってないでよ。私にも見せて」
「はるちゃん。わたしらかなりヤバイ生活してきたかもだよ」
「なんで?」
「まずね、表札がダメだって。出さないか名字だけにしよ。女のふたり暮らしだって教えてるようなものだって」
「そうか。すぐやめよう。でもひとり暮らしじゃないってわかるってこともあると思うけど」
「でも、やっぱ女の名前じゃさ。女のふたり暮らしって1人と対して変わりないよ、考えたら。はるかもさとみも平仮名だし」
「そうだね」
「それからえーと、カーテンもダメみたい。ピンクのカーテンなんて、女の子が住んでるってバレバレだって」
「なるほど。じゃあ、ベージュとかならいいかな。それとも遮光性のにしたらいいのか。裏が濃い色の。今度買おう」
「それから、泥棒になったつもりで家を客観的に見るようにって書いてある。泥棒っていうか、のぞきとか盗撮犯のつもりで見るといいってことだね」
「そしたら、お風呂の窓なんて絶対に鍵をかけておかないとダメってことね。気をつけよう。でも、換気扇がないからなぁ」
「だから、入るときはいつも鍵をかけろってことでしょ。あ、やっぱりお風呂の匂いもやばいみたい。女の家だって匂いで分かるらしいよ」
「うん。お風呂の匂いって外に漏れるからねえ。でも換気はしなくちゃ」
「わ、格子が付いていても安心しちゃいけないって。知らない間にネジをゆるめられてはずされることもあるらしいよ」
「じゃあ、格子が付いているからって窓を開けていたのは危険なんだ。泥棒に入られたかもだったってこと? 怖っ! 明日、ちゃんと見てみよう」
「玄関の錠前もツーロックにしたほうがいいみたい。仮に2万円かかっても賃貸契約期間が2年としたら1日わずか27~8円だって」
「うちのは1個だもんね。ちょっと大家さんに相談してみよう。それくらいだったら、自分たちで費用を出しても保険と思えばいいかもね」
次から次へと防犯対策の情報が出てきて、いかに無用心だったか2人とも思い知らされた。あれもこれも、まったく今まで無事だったことが奇跡的なくらい、何も考えずにいたものだ。契約更新をしたばかりなので、費用的にもすぐに引越しをするわけにもいかない。ならば、今の状態を少しでも安全にしなくてはならないだろう。
「あ、これ簡単ですぐ出来そう。防犯ブザーで窓とか玄関にアラームを付けられるんだね」
「ホントだ。ウチみたいなアパートじゃ、警備会社に依頼するってことはあり得ないもんね。手作り防犯グッズか、いいね」
「のぞきとか盗撮にも気をつけないとね。あ、これ、怖い。ひとり暮らしの女性が風呂上りにドアからのぞかれた話。それにドアスコープもはずされることがあるって書いてある」
「なんだか、家の中にいても安心できないってことねえ。ちょっと私も今度ゆっくり見るわ。ブックマークしといて」
翌日の日曜日は、まず2人の名前の書かれた表札をはずした。建物の横に回って浴室の窓の外を見ると、下はコンクリートなので足音が聞こえにくいとわかった。格子をつかんで動かしてみてゆるくなっていないかたしかめた。それから、遮光性のカーテン、防犯ブザーと窓とドアに取り付けるためのフック、などを購入してさっそく取り付けた。結局、昨夜の騒ぎの本当のところはわからなかった。もしかすると、さとみが聞いた物音はたしかに不審者がいた音だったかもしれないが、それよりも、二度と怖い目に遭わないように、家の防犯対策を施して慎重に暮らしていこうと姉妹で誓いあった。
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