防犯/防犯小説

ミセスの危機管理ナビ~女と男の自己防衛(4ページ目)

会社内で突然、文恵に抱きつかれた春彦。次長の立川がやって来て危険な状況に。しかし、証拠があると突っぱねた。文恵が飛び出して、立川が出て行った後に入ってきた男とは。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

女と男の自己防衛

グラスを手に持ったまま少し考えていた様子の麻季子がグラスを置いた。

「でもカメラもレコーダーもホントに考えると怖いわね」
「道具は使い方一つだからな」
「一歩間違えば、犯罪に使われるおそれもあるし。今回は身を守るために役立てたわけだけど」
「備えあればうれいなし。まさに今回はそれだよ。準備していなかったら、逃れることも難しかったかもしれない。痴漢だと騒がれたら、どうしようもないのと一緒だ。もちろん、オレも日頃から気をつけているよ。電車内では新聞や本を読んだりして、両手は絶対に上げている。痴漢だと騒がれたらたまらないからな。下手すりゃ人生終わりだし」

「会社内といえども男女2人だけでいるのも危険ね」
「まさにそうだよ~。録音していたからこそ、オレも強気に出られたんだよ。それにしてもあれだ。北村のところも、彼女のほうが尾行して写真を撮ることを提案したらしい。キミもICレコーダーを提案してくれただろ。女のほうが自己防衛に長けてるってことかね」
「無防備ではいられない、ってことよ。夫を守るのは妻として当然だもの」
「いや、今回は本当に助かったよ」

録音したものは聞きたくもないと麻季子は言った。もうトラブルは終ったのだ。そんなものを聞いても不快になるだけだ。春彦も危ういところだった記録など聞き返す気持ちはなかった。金曜日の夜に2人でワインを飲むのは久しぶりだった。春彦はすでに北村と詩織と3人で飲んでいたので下地が出来ていた。麻季子も追いつこうとばかりにピッチが早かった。

戸惑い?
戸惑い?
2人とも今日の出来事に気が高ぶっているようだった。春彦が麻季子の腕を取り、引き寄せた。横井文恵を立ち上がらせたときにつかんだ文恵の腕の感触がよみがえって、春彦自身思いがけず戸惑ったが、それを打ち消すように麻季子を力強く抱きしめた。麻季子もすぐに身をゆだねて反応していた……。


翌週の人事異動で辞令の内示があった。立川次長は支社への辞令が下った。妻が子どものことがあるからと地方で暮らすことに拒絶反応を示したらしく、単身赴任ということになるようだった。横井文恵は週明け早々に辞職願を出し、有給休暇の消化ということで、仕事の引継ぎを一日で終えて歓送会も辞退して会社から去っていった。その後、2人が別れたのかどうか、あるいは文恵が立川の転勤先までついていったのかどうか、誰も彼女のその後を知る者はいない。


■あなたの一票/ICレコーダーやデジタルカメラを自己防衛に使うことを考えたことはありますか?
あなたの一票【過去の一覧】で結果をご覧下さい。

■関連防犯ガイド記事
  • 盗聴? どうしよう?

  • 盗撮されたかも?しれない女たち

  • 盗聴される!赤ちゃんより親!?


  • 盗聴・盗撮

  • ミセスの危機管理ナビ~シリーズ

  • 防犯に役立つ知識を読み物形式の記事で紹介
  • 【編集部おすすめの購入サイト】
    楽天市場で防犯グッズを見るAmazon で防犯グッズを見る
    【編集部からのお知らせ】
    ・「20代男性俳優」について、アンケート(2024/5/31まで)を実施中です!(目安所要時間5分)

    ※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
    ※回答上限に達し次第、予定より早く回答を締め切る場合があります
    • 前のページへ
    • 1
    • 2
    • 3
    • 4
    ※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

    あわせて読みたい

    あなたにオススメ

      表示について

      カテゴリー一覧

      All Aboutサービス・メディア

      All About公式SNS
      日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
      公式SNS一覧
      © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます