犯人は誰?
盗撮写真? |
「メールはフリーメールで来ていました。そして、写真をばらまかれたくなければ、詩織の裸の写真をメールで送り返せと書いてあったんです」
「まあ、何それ」
「しかし、それでハイハイと送るはずもないだろう。本気とは思えないがな」
「ええ。無視すればいいだけかもしれませんが」
「でも、誰がそんなメールを送ったか、が問題なのね」
「そうなんです。詩織も気味悪がって」
「ということは、少なくともあなたたちがホテルに入ったか出たところを見た人物がいて、その人がいやがらせで彼女にメールを送ったということね」
「それが、彼女の会社のアドレス宛になんですよ」
「ホテルの中ってこともあり得るぞ」
「ホテルの従業員ってことでしょうか? でもそれじゃ彼女のアドレスを知りえないと思うんですが」
「いや、知り合いもホテルを利用していて、ドアの隙間から二人を見たということも可能性としてはあるかもしれない」
「うーん。部屋を出ようとしてほかの客がいたら、タイミングをずらそうと思うのは普通の心理だとは思うけど」
「でも、そう都合よく知り合いと遭遇するでしょうか」
「可能性はゼロではないだろう」
「やっぱりホテルの外で、入るときか出るときに見られたんじゃない? 車で行ったの?」
ラブホテル街 |
「止まっている車とか見ていない?」
「それが、そういうことはまったく気にしていなかったので分からないです」
「ふたりとも独身だからな。不倫じゃないんだから」
「会社の人たちもよく行くような場所なのかしら」
「いや、会社とはまったく離れていますし、ハッキリ言ってラブホテル街なんです」
「広いようで世間は狭いから、どこで誰に会うか分からないわよ。現実に誰かに目撃されているのだし。その場所を選んだのはなぜ?」
「会社からは遠くて、彼女と僕の家の中間地点なんです。彼女はお姉さんと住んでるし、僕の家は遠くて親戚の家の離れを借りているので女性はちょっと。とにかく、誰がどういうつもりでやったのか知りたいんです。このままじゃ詩織も僕も落ち着けないですから」
「脅迫メールの犯人探しだな。一人より二人。二人より三人のほうが色々な考えも出るだろう。そこでキミの推理力を借りたいんだよ」
春彦と北村が同時に自分を見たので、麻季子はちょっと緊張した。翌日は土曜日なので、春彦が北村に泊まるように誘うと遠慮がちにそうさせていただくと答えた。春彦の提案で少し酒を飲むことになり、麻季子はキッチンで簡単なおつまみを用意しながら、すでに頭の中であれこれと考えをめぐらせていた。リビングのテーブルに皿を並べたときには、いくつかの考えを話したくてしょうがなかった。
連載第2回「ミセスの危機管理ナビ~男の周辺の疑惑」 も続けてご覧ください。
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