防犯/防犯小説

ミセスの危機管理ナビ~推理から見えたもの(3ページ目)

【連載第3回】絵里からの電話に雅斗を出してもらい、不審な電話の声について推理する麻季子。さらに年賀状を見ながら人物像を聞きだす。それらの情報から麻季子は一人を選び出して…

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

差出人を探す

翌日、簡単な昼食を済ませると、携帯電話で絵里にメールを送った。すぐに返信が来て、麻季子は家を出た。絵里の家では、幼稚園から帰ったらしい末の健斗と次男の秀斗の二人が「こんにちは」と麻季子にあいさつした。秀斗はあっさりしている感じだが、健斗ははにかんだ様子がかわいらしい。
「健斗クンは本当にかわいらしいわよねぇ。いや、3人ともかわいいけど」
「あらありがとう。やっぱり末っ子だからかな。うちの子どもは3人とも顔も性格も違うけど、健斗は特に甘えん坊なのよ」
「だから余計にかわいいんでしょ? フフ」

今日はローズマリー
今日はローズマリー
絵里がお茶を持ってきた。
「今日はハーブティーにしてみたの」
「ありがとう。何?」
「ローズマリー。心身の疲労を癒し、脳の働きを活性化して記憶力や集中力を高める効果があって、頭痛や風邪にも効くんですって」
「それはいいわね。……あ、なんかスッキリした香り。味もさっぱりしてる」

すでにリビングのテーブルの上には年賀状の束が置かれていた。ひとしきり二人でお茶を飲んでから、麻季子が言った。
「じゃあ、頭痛のタネをなくす作業をしましょうか。じゃ、それぞれ人物像を話してくれる?」
「そうよね。じゃあ、子どもの写真の年賀状の人からいこうか。この人はね、前に住んでいたマンションで仲良かったの。今でもわりとよく電話とかメールとかするほう」
「ふーん」

「この人は、男の子が二人でしょ。だから話が合うって感じ。子どもたちがいつもケンカして困るって。うちの子たちはみんな仲がいいけど」
続けて写真ではなく出来合いの年賀状やパソコンで作ったと思われる年賀状に移った。
「この人は男の子がひとりいる。でもあまり付き合いはなくて、年賀状のやりとりだけかな。この人はねえ、私の高校のときの同級生。すっごくかわいい女の子がひとりいる。うちの秀斗と同じ幼稚園の年長さんだけど、もうお人形さんみたいにメチャかわいくてねえ」
お人形さんみたい
お人形さんみたい


「へえ、それなのに写真は使ってないんだ」
ごくありふれた干支のイラストを用いて自宅のパソコンで作ったと思われる年賀状だった。
「赤ちゃんのときは写真だったと思うけどなぁ。それでね、女の子だからすっごく心配みたいよ。ほら、女の子って性被害とか受けやすいじゃない。私も気をつけてねーって、よく言ってるの」
「え~? 危ないのは男の子も同じだと思うわよ」

「でも女の子のほうがやっぱり危ないわよ。それから、この人は女の子二人。お姉ちゃんはもう中学生で、なんか携帯電話がどうとか、ボーイフレンドがどうとかって女の子はホント大変みたいね。渋谷あたりで遊んでいるような女子中学生なんて、ほとんど経験済みなんですってね」
「中学生って12~13歳からでしょう? うちの翔太は今、10歳だけど、あと2~3年経ったとしても、女の子と比べたらまるで子どもだわ。出会い系サイトだとか、小学生の女の子でも事件があったしねえ」
「ねええ、だから女の子は怖いわあ」

  • →電話をかける!/あなたの一票/関連防犯ガイド記事……p.4
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