ケース1~会社員Tさんの場合
3万円? それとも2万5千円? |
たまたま1万円札2枚の下に5千円札があったのだが、店員が疑いもせず、「3万円」と受け取ったので、あるいは自分が勘違いをして3万円を出したのかもしれないと思い、そのままつり銭をもらった。店員は領収書を書くのに一生懸命で、まったく疑っていない。「ありがとうございました。又お越しくださいませ」「どうも。ご馳走さん」と軽く手を上げて、皆と一緒に店を出た。誰もTさんが2万5千円しか出していないことを見ていない。
店内は混雑しており、相当忙しそうだった。店を出ても、店員はすぐにホールに戻ったようで、追いかけて出てくることもなかった。領収書を財布にしまいながら、中身を確認すると、やはり1枚あった5千円札がない。出したのは2万5千円で間違いなかった。店員も気づいていないし、誰も気づいた様子はない。Tさんは得をした気分になって、「よし。じゃあ、カラオケにでも行くか。今度はオレがおごるよ」と、声を掛けた。皆の歓声に上機嫌で鼻歌を歌いだしたTさんだった。
ケース2~主婦Nさんの場合
主婦のNさん(39歳)は、新聞折込のチラシで見て少しでも安いものを買いに行く。自転車で出かけるので、けっこう遠くの店でもいとわない。その日は売り出し日だったので、店内はかなり混んでいた。目当ての商品をカゴに入れてレジに向かった。どちらかといえば古い店で、レジスターも最新式ではない。1762円の支払いに対して2千円と62円を出した。店員はNさんの手のひらにレシートとつり銭を押し付けるように渡すと次の客のカゴに移っていた。Nさんは確かめずにレシートにお金を包むようにしてそのまま財布につり銭を入れた。次の客は連れの子どもに話しかけていたので、こちらをまったく気にしていない。Nさんが帰宅後に家計簿をつけてみると、400円多かった。考えてみると、本来は300円のおつりのはずが、店員が間違って700円寄越したのだった。店員の単純な思い込みだろう。申し訳ない気もしたが、わざわざ返しに行くほどでもないと判断して、家計簿にはつけず、へそくりの貯金箱に400円を入れた。
よくあること?
どちらもありがちなケースです。最近はレジスターも進化して、預かり銭を打ち込めば正しいつり銭が表示されるので、つり銭を間違うことはほとんどないと思われます。しかし、預かり銭を打ち込まないで「現計」だけで打ち込むほうが時間も短縮できるので、慣れた人はよく現計で打ち込み、暗算でつり銭を出すことも多いようです。Tさんはつり銭を受け取った段階で、間違いに気づいていました。Nさんは帰宅後につり銭が多いことに気がつきました。いずれもお店にお金を返してはいません。これは罪になるのでしょうか? それとも「店員の間違いだから、彼らには罪はない」のでしょうか? 答えは次ページで!