【連載第1回】テレクラの甘い罠~夫の言い訳
【連載第2回】テレクラの甘い罠~女からの誘い
【連載第3回】テレクラの甘い罠~シティホテル
【連載第4回】テレクラの甘い罠~インザルーム
【連載第5回】テレクラの甘い罠~深夜の訪問者
【連載第6回】テレクラの甘い罠~夜明けの苦悩
を先にご覧下さい。
《あらすじ》サラリーマンのK介(33歳)は、テレクラで知り合った女とホテルで関係を持った後に、男たちに“誠意”を要求される。預金を奪われたK介が、苦悩したあげく、取った行動とは…。
夫の告白
頭はもう回らなかった。悪夢のような夜だった。思い出したくもないし、早く忘れてしまいたかった。だが、そう思えば思うほど、悔しさがこみ上げてきた。しかし、忘れるしかない。そう自分に言い聞かせた。そして、K介は妻にも誰にも言わずにこのことを自分だけの胸にしまい込んだ。幸い、しばらくの間、何か起きるかと警戒していたが何も起こらなかった。あれで済んだのだ…と、忘れようとした。
だが、妻は敏感だった。K介の様子に不審なものを感じたらしく、ある夜、問いただされた。「私はあなたの味方だから。なんでも言って」と、やさしく言われて、つい一部始終を白状してしまった。妻はじっと聞いていたが、K介が話し終えるとしばらくしてから冷静に話し出した。
「でも、妻帯者を狙ってるってことがまず怪しいじゃない。それは弱味を握るってことでしょ?」
「あぁ。今、思えばそうなんだけど」
「それに、ラブホテルじゃなくてシティホテルを指定したのは、後で男たちが乗り込むためにだわよね。ラブホテルじゃ乗り込めないでしょう」
「うん」
「それと、そのくらいの出費をケチらないか、お金を持っているかという確認の意味もあるのかも」
「そうだな…」
「やけに会社名を聞こうとしたのも、脅せる価値のある相手かどうかということを知りたかったのでしょうね。会う前に会社名を出さなかったとしても、有名な会社だよ、なんて自慢したんでしょ?」
「まったく面目ない」
「男って、ホントに…。ヘンなプライドが命取りだったわね。多分、ステキとか何とか言われていい気になったんじゃないの」
「いや…」
「それに、携帯電話の番号を教えたり、会ってから、なんで名刺なんて渡すかなぁー。それも大事な個人情報だし、逃げられなくなるってことを気がつかなかったの?」
「……」
→妻の覚悟
→→夫婦の決断