防犯/防犯小説

【連載第6回】事実を追及されたK介は窮地に陥る。 テレクラの甘い罠~夜明けの苦悩

男たちが入ってきて、ミサキが未成年であることを知らされ、ごまかしようのない事実を追及されたK介は窮地に陥る。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

※この連載記事は、実際に起きた事件をベースに構成してあります。【全8回】

【連載第1回】テレクラの甘い罠~夫の言い訳 
【連載第2回】テレクラの甘い罠~女からの誘い
【連載第3回】テレクラの甘い罠~シティホテル
【連載第4回】テレクラの甘い罠~インザルーム
【連載第5回】テレクラの甘い罠~深夜の訪問者
を先にご覧下さい。

《あらすじ》サラリーマンのK介(33歳)は、テレクラで知り合った女とホテルで関係を持った。戻ってきた女と数人の男たちの闖入により、ミサキが未成年であることを知らされ、ごまかしようのない事実を追及されたK介は窮地に陥る。


誠意を見せろ

「よくわかったぜ。タケダさん、あんたこの子と寝たんだ。オレの彼女とさ。事実を今、認めたよな」

「……」

「そういえば、あんた、あの有名なNって会社の本社勤務だってな」


K介は、名刺を渡したことを激しく悔やんだ。しかしすでにもう遅い。

「Nのエリート社員が“淫行”かい。いい~ネタだね~。週刊誌が喜んでやってくるぜ」

(目的は金か…。どうしよう。どうしたらいい?)
心臓がドクドクと盛んに血液を運び、上半身が揺れるような気がした。

「おまけに、あんた奥さんがいるんだってな。どんな奥さんか知らないけど、こんなことを知ったら離婚なんてことになっても知らないぜ。あんたに原因があるんだから、慰謝料も払うことになるだろ」

(家内か。確かに、離婚を切り出されたらお終いだ。だが、こんなたった一度、寝ただけで。彼女はどう思うだろうか。いや、あの性格だ。潔癖性だからな。絶対に許してくれるような女じゃない。自殺するようなタイプじゃないが、オレのことを信用しているだけに大騒ぎになるだろう。くそう。どうしろってんだ!)

「タケダさんさー、それでもいいかな。オレには何のメリットもないけどさ、彼女を寝取られたんだから、あんたを社会的に破滅させても文句は言えないだろ。それとも…」

「それとも?」

「いや、オレだって男だからな。浮気したい気持ちは理解できんのよ。だけど、オレの女がその相手ってのはいただけない。どうかな、この場で決着をつけるってのは」

「決着?」

「何も果たし合いをしようってんじゃない。オレは紳士だからな。あんたが誠意を示してくれれば、考えてやってもいい」

「誠意…。つまり、金か?」

「いや、オレはあんたの誠意と言ってるんであって、その中身はオレからは言えない。オレは恐喝をしているわけじゃないんだ。あんたはオレの女をヤッた。それに対して、あんたがどう誠意を示すか、それを聞きたいだけだ」

(つまり、とにかく金だろ? チキショウ。こんなヤツらに)

「ま、オレとしては、週刊誌ネタでも全然かまわない。雑誌社がいくらくれるか知らないが、多少の情報提供料くらいはくれるだろ。まぁ、あんたの会社にばらしてもいいし。そうなると、会社ではクビになるか、よくて左遷で、どっちにしても居づらいだろうなぁ。するとあんたは職場も、妻も、未来も失うってわけだ。オレはホントどっちでもいいよ。オレの大事な彼女と寝たんだからそれくらいの代償を支払っても当然だろ」


K介は、言われたことを頭の中で繰り返した。すべてを失う…。たった一度、アッという間に終わってしまった行為の代償としてはあまりにも高すぎる。


→キャッシュカード 
→→夜明けの苦悩 

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