防犯/防犯小説

【連載第4回】シティホテルの一室で女と会う。そして テレクラの甘い罠~インザルーム(3ページ目)

ホテルの予約を取ってから女に電話をかけた。電話で部屋番号を伝えて、女を部屋で待つ。果たして女はやってきた。そして、一時の時間を共有する。その後、女が買い物に行くというが…。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

名刺を渡す

「こんばんわー」

「あ、どうも。こんばんわ。どうぞ入って」
(お、なんというか、今風な…)

「すごく素敵なホテルですねぇ」

「気に入った?」
(電話とまた雰囲気が違うなぁ)

「ええ。うわー、窓からの景色がいい!」

そう言いながら、ミサキは窓辺に近寄ってたたずんだ。K介は彼女の後ろ姿をじっくりと観察した。(茶髪というより、金髪に近いな。電話で話した感じより、かなり遊んでいるような。元ヤンって感じだなぁ。もっと真面目なタイプだと思っていたけど。でも、スタイルは悪くない。まぁ、それほど悪くはないってとこかな)

「タケダさんって、どちらの会社にお勤めでしたっけ?」

ミサキが振り返りながら、突然、そう言った。

「えっ? ああ、言わなかったっけ。Nという会社だけど」(身元を気にしてるってか。心配ないよ)

「あ、あの○○関係の?」

「そう」
(ちゃんと知ってるじゃないか。ま、知らないはずはないしな)

「へぇ。すごいですね。私でも会社名知ってます。やっぱりエリートなんですね。部署はどちらですか?」

「今は、企画部門にいるんだ。以前は別の営業所にいたけど、半年前から本社勤務でね」
(つまりアップグレードしたってこと)

「すご~い!」

「名刺を見せようか」
(見ないと信じないだろ)

「え、ホント?」

「かまわないよ。ほら」
(フッフッフ。すごいだろー)

「へぇ~、すごい。やっぱり一流会社の人って感じですね。ありがとー」

そう言いながら、ミサキは名刺を自分の財布に入れた。K介は、ふと不安を覚えた。見せるだけのつもりだったが、財布に入れられてしまった。一度差し出した名刺を取り返すことも出来ない。(こんな出会いで、遊びなのに、本名や勤務先を教えることは大丈夫だろうか?)だが、(遊びなのはお互い様だ。彼女のほうが女なんだから、他人に知られたら困るだろう。会社の名刺で自宅が知られるわけじゃないしな。会社の連中だって、キャバクラで渡したりしているし)と思い、名刺を取り返すことは考えないことにした。


「タケダさんは、シャワーを浴びたんですね?」

「え? ああ。僕は済ませたけど」
(おっと、いきなりそうくるか)



→乾杯、そして…
→→女の外出

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