女を迎える
(新しい下着と靴下は後で捨ててしまえばいい。ウチのヤツがうるさいからな。ま、どうせ替えのネクタイは会社にあるし。一日くらい問題ない。さて、今夜は張り切るぞ)
鼻息も荒く、しかしごく普通の表情を装ってホテルのフロントでチェックインを済ませた。室内はたしかに清潔である。カーテンを開いた窓からの景色もさすがに素晴らしい。上着から携帯電話を取りだし、テーブルの上に置いた。腕時計を見ると、まだ時間がある。シャワーを浴びようかどうしようか迷った。
(いきなりバスローブで出迎えるのもなぁ。しかし、お互い目的はわかっているんだし。時間の節約だ)
そして、携帯電話も忘れずにバスルームに持って行き、シャワーを浴びた。バスローブに着替えようか迷ったが、新しい下着とワイシャツとスラックス姿にした。テレビをつけてリラックスしていると、携帯が鳴った。着信番号を確認して出た。
「あ、ミサキです~。今、駅に着きました」
「あ、どうも。部屋番号はね、2207号室だけど」(おぉー、やっぱりちゃんと電話を寄越したな)
「2207ですね。わかりました。もうじき着きますから」
「じゃ、待ってる」(来るまで待ってるぜ)
「は~い。それじゃ」
K介は頭の中で、駅から歩いてくる女の姿を想像していた。(今、あの通りを歩いて、それからホテルに入って、エレベーターに乗って…)と、頭の中でイメージした。自分がホテルで、初めて会う女を待っているという状況が夢のようだった。(こんなこともあるんだよな)フゥーっとため息をついて、思わず笑みがこぼれた。しかし、すべてが実は女のペースにはまっていることにはK介は気がつかないでいた…。
やけにのどがかわいたので冷蔵庫からミネラルウォーターを出した。ビールでもと思ったが、ビールの匂いは意外と気になるのでやめておいた。グラスに注いで冷たい水を一気に飲んでいると、ドアチャイムが鳴った。ハッと、グラスをテーブルに置いて、ドアに向かった。ドアスコープをのぞくと女が立っている。一つ咳払いをしてドアを開けた。
→名刺を渡す
→→乾杯、そして…
→→→女の外出