防犯/防犯小説

【連載第2回】かかってくる電話も色々ですが… テレクラの甘い罠~女からの誘い(2ページ目)

テレクラで受けた電話の数々。最後に受けた電話の相手は、若い感じのいい女性だった。これから会えそうな雰囲気の会話に、その気になってしまうのは男のサガか…

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

勝手な女

「うーん。キミ、16歳だろ? マズイよ、それは」(おいおい。未成年だろ。援助交際なんかしてるんじゃないよ)

「ガチャ☆」

いきなり切れた。(ったく…。最近の若い子ときたら。援助交際で金を取ることを覚えてどうすんだ。それに、未成年はダメだ。犯罪行為だし。時々、新聞沙汰になっているしな。ガキなんておもしろくもない。話もまともにできないし、ヤレば金になると思って。オレはもっとちゃんとした年頃の女と話したいんだ)

また電話が鳴り、フックにかけた指をはずして出る。

「もしもーし」

「あ、もしもし」

「今晩は」

「今晩は。失礼ですけど、おいくつでいらっしゃいますか?」

「あ、私は30過ぎですが。そちらは」
(あいさつはできても、いきなり年かい。でもけっこう年齢がいってそうだな)

「あの、私も30過ぎているんですが」

「あぁ、そうですか」
(なんかもっといってそうだな)

「私、今日、ヒマなんです」

「ははぁ。そうでしょうね。こんな所に電話をかけてきているんですから」

「主人が今日はいないので」

「ほう」
(いったいこの女、いくつなんだ?)

「もしよろしかったら、お話していただけません?」

「はぁ。ご主人がいらっしゃるというと、おいくつなんですか?」
(女性に年は聞くものじゃないけど)

「ええ、まぁいいじゃありませんか。女性に年齢を聞くものじゃないですよ」

「はぁ」
(でも、そっちが先にこっちの年齢を聞いたじゃないか。勝手だな)

「いいじゃないですか、そんなこと。それで、失礼ですけど、何をしてらっしゃる方ですか?」

「いや、ちょっとスミマセン」


そう言うと電話を切った。(ホントに失礼だよ。こっちは金を払っているのに。こっちが何をしていようが関係ないだろ! どうでもいいことばかり聞いてきて。なんか、ろくな電話がないなー) フリーダイヤルで無料で話すことができるので、ヒマつぶしにいろいろな女性から電話がかかるものなのだ。それから数人の女性の電話を受けたが、どれも似たり寄ったりだった。中には“サクラ”と思える女性もいた。もうほどほどにして帰ろうかと思って、最後のつもりで次の電話に出た。



→まともな電話
→→誘いの会話

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