勝手な女
「うーん。キミ、16歳だろ? マズイよ、それは」(おいおい。未成年だろ。援助交際なんかしてるんじゃないよ)「ガチャ☆」
いきなり切れた。(ったく…。最近の若い子ときたら。援助交際で金を取ることを覚えてどうすんだ。それに、未成年はダメだ。犯罪行為だし。時々、新聞沙汰になっているしな。ガキなんておもしろくもない。話もまともにできないし、ヤレば金になると思って。オレはもっとちゃんとした年頃の女と話したいんだ)
また電話が鳴り、フックにかけた指をはずして出る。
「もしもーし」
「あ、もしもし」
「今晩は」
「今晩は。失礼ですけど、おいくつでいらっしゃいますか?」
「あ、私は30過ぎですが。そちらは」(あいさつはできても、いきなり年かい。でもけっこう年齢がいってそうだな)
「あの、私も30過ぎているんですが」
「あぁ、そうですか」(なんかもっといってそうだな)
「私、今日、ヒマなんです」
「ははぁ。そうでしょうね。こんな所に電話をかけてきているんですから」
「主人が今日はいないので」
「ほう」(いったいこの女、いくつなんだ?)
「もしよろしかったら、お話していただけません?」
「はぁ。ご主人がいらっしゃるというと、おいくつなんですか?」(女性に年は聞くものじゃないけど)
「ええ、まぁいいじゃありませんか。女性に年齢を聞くものじゃないですよ」
「はぁ」(でも、そっちが先にこっちの年齢を聞いたじゃないか。勝手だな)
「いいじゃないですか、そんなこと。それで、失礼ですけど、何をしてらっしゃる方ですか?」
「いや、ちょっとスミマセン」
そう言うと電話を切った。(ホントに失礼だよ。こっちは金を払っているのに。こっちが何をしていようが関係ないだろ! どうでもいいことばかり聞いてきて。なんか、ろくな電話がないなー) フリーダイヤルで無料で話すことができるので、ヒマつぶしにいろいろな女性から電話がかかるものなのだ。それから数人の女性の電話を受けたが、どれも似たり寄ったりだった。中には“サクラ”と思える女性もいた。もうほどほどにして帰ろうかと思って、最後のつもりで次の電話に出た。
→まともな電話
→→誘いの会話