防犯/防犯小説

【連載第5回】取り調べを受ける男。否認を続けるが… 出会い系サイト~破滅の連鎖(2ページ目)

[5/6]自宅に訪れたのは刑事たちであった。スーパーマーケットでの出来事について事情を聞きたいという。男はどこまで否認できるのか?

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

任意事情聴取

「はぁ」
「で、ご主人に、いや、ゴトウタケユキさんでよろしいですね。その時間にあのスーパーにいらしたということで、少々、お話を伺いたいんですよ」
「なるほど」
「失礼ですが、ご職業を教えていただけますか?」
「私ですか、公立学校の教頭をやっております」
「ほぉ。教頭先生ですか」


二人の刑事は顔を見合わせた。一言も発していない若い刑事は、口をとがらせて何度か頷いた。

「学校の先生だったんですか。それでは、ひとつ警察の捜査にも快くご協力いただけるとありがたいんですがね」
「いや、それはもちろんやぶさかではありませんが」

※「…にやぶさかでない」の形で …する努力を惜しまない。喜んで…する。

「いやぁ、学校の先生となるとさすが難しい言葉をお使いになりますな。では、ご協力いただけるということで、ちょっと署までご同行願えますか」
「それは、強制ですか?」
「とんでもない。もちろん、任意ですよ。任意で事情をお訊きしたいということです」
「そうですか。じゃ、支度して参りますので少々お待ち下さい」
「恐縮です」


任意とはいえ、事情聴取に応じないと不利なことになると判断した男は、自室に戻ると上着を手にした。

(知らない、と突っぱねれば大丈夫だ。証拠はないんだから。証拠がないのに、逮捕することはできないだろう)

と、高を括っていた。※(たかをくくる せいぜいそんな程度だろうと決めてかかる。見くびる。あなどる)だが、当然、それですむことではなかった。


出向いた警察署での任意の事情聴取では、スーパーマーケットに何時から何時までいたか、をまず訊かれた。男は、買い物をした時間の午後7時前後と伝えた。ところが、駐車場に置いてあった車が何人かの店員の目撃により、6時にはすでにそこにあったということが証言されているという。

男は、

「いや、そういえば。色々と店内で見ていたんですよ」

と、今思い出したかのように言い直した。


→盗撮疑惑
→→防犯カメラ
→→→逮捕!そして、再逮捕!


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