防犯/防犯小説

【連載第5回】取り調べを受ける男。否認を続けるが… 出会い系サイト~破滅の連鎖

[5/6]自宅に訪れたのは刑事たちであった。スーパーマーケットでの出来事について事情を聞きたいという。男はどこまで否認できるのか?

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

※この連載記事は、実際に起きた事件をベースに構成してあります。[全6回]

【連載第1回】出会い系サイト~嘘つきなメール
【連載第2回】出会い系サイト~仕掛けるメール
【連載第3回】出会い系サイト~悪趣味なメール  
【連載第4回】出会い系サイト~悪癖の発覚   を先にご覧下さい。



刑事の来訪

玄関ドアのチャイムが鳴っても、ダイニングの椅子に座ったまま動こうとしなかったが、妻や息子も部屋から出てくる気配はない。インターホンはあるが、玄関に出向いたほうがいい、と判断して、男はようやく立ち上がった

玄関ホールの照明をつけると、ドア横の装飾ガラスの向こうに黒い人影が見えた。サンダルをつっかけて、ドアを開けると背広姿の二人が立っていた。

「はい…」
「あ、夜分に恐れ入ります。ご主人でいらっしゃいますか?」
「はぁ。どなた様で」
「○○警察署のものなんですが」


二人の男性は上着から、警察手帳を取りだして、二つ折りのそれを縦に開いて男のほうに向けた。平成14年10月1日から67年ぶりに新型になったものである。男は顔をしかめて突き出すようにしてそれをのぞいた。上部に顔写真と下には警察のバッジがついている。

「はぁ。なんだかFBIみたいですね」

余裕のあるところを見せて笑おうとしたが、かえって頬がこわばった。後頭部がキーンとして誰かにつかまれているように感じる。刑事は目を男に向けたまま、男の言葉を無視して警察手帳をしまうと、玄関脇のカーポートにある白い乗用車を手で示して言った。

「あの車はご主人のものですね」
「ええ、私の車です」
「今日の夕方、×○町のスーパーマーケットに行かれたのはご主人で」
「はぁ、ちょっと酒のつまみを買いにスーパーには行きましたが」

(来た!)


と、男は頭の中で思っていた。

(だが、証拠はない。大丈夫だ)

そう考えると気分が落ち着いた。刑事はかすかに頷きながら、

「実はちょっとした事件がありましてね」

と、いうと自分の顎をなでるようにした。

→任意事情聴取
→→盗撮疑惑
→→→防犯カメラ
→→→→逮捕!そして、再逮捕!


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