駅から帰る人々
さて、駅から歩くとかなりの距離になりますので、「自転車」の利用が多いようです。これはどこでもそうですが、皆が駅から近い所に住んでいるわけではありません。中には駅から徒歩20分、30分の所に住んでいる人も多いのです。とすればやはり自転車の利用は多くなります。男性もそうですが、女性が自転車を利用するのは「歩きより安全」という感じもあるでしょうか。徒歩だと「痴漢」被害も考えられるからです。「自転車」といえば、「前カゴ」に荷物やバッグを入れることが多いでしょう。女性は財布などを身につけずにバッグに入れていますから、そのバッグを前カゴに入れて、となると、女性に触れずにバッグだけを盗めば現金が手に入る、と考えるのがひったくり犯人です。後ろから追い越しざまにバッグを盗んで、あとは逃走するだけです。歩いている女性でも、ハンドバッグを手に提げていたり、ショルダーバッグでも車やバイクの通る側にかけているとやはり後ろからくるひったくり犯人にバッグを盗まれます。
“ひったくり”はどこにいる!?
「ひったくり犯」はどこにいたのでしょうか。地域によっては駅前で自転車に乗る人を物色して後を尾行する、というパターンも多いのですが、この通りは駅から大きな通りを信号機で渡ってからの道なので、むしろこの通りの入り口付近で待ち伏せして物色しているのではないかと思われます。そして、そのために「ひそんでいられる場所」が実にたくさんあるのです。駐車場、アパートなど出入りの出来る建物の塀の裏側、横道などバイクや自転車を停めて通る人を、いや、ひったくり出来る人を見て探すことができるのです。普通、自転車に乗っていたり、歩いていれば、そんな横道や駐車場を見ることはありません。しかも、人がいるのかよく見てもわからないほど真っ暗といっていいほどの暗がりです。しかし、ずっとそこにいる人は目が慣れていますから、通る人を見きわめられます。
自転車の前カゴにバッグを無造作に入れた女性、ハンドバッグを手に提げて自分の目の前、足元くらいしか見ないで歩いている女性、そのような女性すなわち彼らひったくり犯にとっての「獲物」が通り過ぎれば…。自転車なら音もなく、バイクなら少したってから後を尾ければいいのです。
長い長い道ですから、犯人は犯行のチャンスをうかがいます。おそらく街灯と街灯の間に入って、ほかからは一瞬見えなくなるとき、つまり遠くを誰かが歩いていても、ひったくりの様子など見えない瞬間など、条件が揃ったときに!追い越す瞬間にバッグを持ち去るのです。
バッグを取ってしまえば、あとは逃げるだけ。逃げ道はいくらでもあります。右でも左でもいくらでもそこかしこに分かれ道があるのです。そして、どの道を選んで逃げてもその先は大きな道路や街道に抜けられますから、ほかの車やバイクにまぎれて遠くへと逃走できます。
このように、ひったくりが多発する要因が揃っている場所なのでした。
つまり、「長く暗い細い一本道である」「ひそんで物色できる場所がたくさんある」「街灯の間が長く、暗い」「逃走経路が多い」など、ひったくり犯人にとっては願ってもいない、好都合な場所なのです。(もちろん、この他の地域で、たとえば道が入り組んだ住宅街なども逃走しやすいと言えるでしょう)。
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