どちらに持っていたか
下北沢という場所柄、役者さんですからよく慣れた地域だったのではないかと思われます。事故の詳しい状況はわかりませんが、上り電車にはねられたということなので、おそらく右側から来た下り電車が通り過ぎ、左側から来た上り電車に気がつかなかった、つまり左側に携帯電話を持って通話中だったのではないでしょうか。また、朝や夕方のラッシュ時なら電車が続くと思われても午後11時過ぎという時間なら電車の数も減っているという点から、遮断機が上がっていなくてもすぐに上がるだろうと思いこんだのではないでしょうか。
その上通話に集中していて、踏切を渡るという行為に注意がいかなかったのでしょう。本当に残念な事故でした。
女性の歩行中の携帯電話
「歩きながら通話する」人は多いのですが、中でも若い女性で「夜道を一人で帰るときに恐いので携帯電話で話しながら歩く」という人が多いようです。しかし、これも周囲に注意がいかないので危険です。スニーカーなどの足音のしない靴を履いた男が、すぐ後ろに迫ってきてもわからないのです。また自己情報をまき散らしながら歩いていることにもなります。ある女性が仕事で遅くなり、夜道が恐いので友人と通話しながら歩いていて「あ、もうアパートに着くよ、うん、もう目の前」などと話しているときに、後ろからいきなり肩をポンと叩かれました。はっとして振り向くと見知らぬ男が「そこがお姉さんち?」とニヤついていたと言います。
駅から尾けられていることにまったく気がついていなかったのです。「お友だちの名前は○○ちゃんって言うんだ」「仕事は○○なんだね」と通話内容も全部聞かれていました。通話中の相手に何かあったらすぐ警察に電話して、となんとかその男を追い払いましたが、10分以上も尾行されていたことに気づかなかった自分にガックリきたといいます。
歩行中は電話をかけるのはなるべく避けましょう。また、かけた相手が歩行中ならかけ直すなどするようにしましょう。通話中に相手が事故にでも遭ってしまったらとても後悔することになるでしょう。かかってきたならまだしも自分からかけていたら、相手に何かあったときその後悔は一生残るのではないでしょうか。
このように、歩行中の携帯電話での通話は危険この上ないのです。落としたり奪われないようにストラップを手に回して、いざというときはすぐに110番ができるようにセットしておく方が夜道を歩く女性にはおすすめです。
電話中は「周囲が見えていない、聞こえていない」という点をよく理解しておきましょう。とくに踏切や横断歩道など、道路や線路を横断するときは要注意です。電車の接近する音を耳で聞いて、さらに線路の遠くまで見て確認してから渡るようにしましょう。
『耳で聞き 目で見て確認 渡るとき』
※なお、この事故に関して週刊新潮11月8日号p142『携帯電話が悲劇を招いた 菅原文太「愛息」の教訓』という記事中に、私のコメントが掲載されています。合わせてぜひご覧ください。