3:「セスキ炭酸ソーダ」の、どこがすごいの?

以上のように「セスキ炭酸ソーダ」について説明すると、よく言われるのが「重曹よりちょっとpHが高いだけなら、重曹を使えばいいんじゃないの?」ということ。

そうですね。結論から言いますと、お掃除に「研磨」を多く取り入れたい方、「煮洗い」派な方、手肌が弱めで、ゴム手袋などが苦手な方などは、お掃除には「重曹」で良いと思います。充分だと思います。

そもそも、なぜ「石けん」でも「洗剤」でもない「重曹」や「セスキ炭酸ソーダ」が汚れ落としに役立つのかといううんちくは、ガイド記事「酢と重曹で大そうじ!」に詳しいのですが、ざっくり説明しますと、

・「重曹」「セスキ炭酸ソーダ」の性質であるアルカリ性には、汚れの主成分にある脂肪酸(油脂が分解されたもの。皮脂・垢や台所の油汚れも)やタンパク質(台所汚れに多く含まれる。血液などにも)を溶かす効果があること。

・汚れ落としの際に、「重曹」「セスキ炭酸ソーダ」(アルカリ)と汚れの油(酸)とが化学反応して微量に石けん成分が合成されること。

がその理由になります。もっと詳しく知りたい方は、上の記事にも目を通してみてくださいね。

「炭酸塩」。ソーダ灰という呼び方もされます。水に溶けやすく湿気やすく、強アルカリで腐食性があり、一般家庭ではあまり使わないほうが安全です。中華麺やコンニャクに食品添加物として使われます。粉石けんに配合されることも多いです。※クリックすると「ケンコーコム」商品ページにジャンプします

「炭酸塩」。ソーダ灰という呼び方もされます。水に溶けやすく湿気やすく、強アルカリで腐食性があり、一般家庭ではあまり使わないほうが安全です。中華麺やコンニャクに食品添加物として使われます。粉石けんに配合されることも多いです。※クリックすると「ケンコーコム」商品ページにジャンプします

「重曹」も「セスキ炭酸ソーダ」も、水溶液を加熱すると分解されて「水」「二酸化炭素(炭酸ガス)」「炭酸ソーダ(炭酸塩)」になります。二酸化炭素はぶくぶくと泡になって上がってきます。泡は「重曹」のほうがたくさん出てきます。

ここで気をつけなければならないのは、「重曹」の水溶液(重曹水)でも加熱するとアルカリ性が強くなるので、扱いには注意が必要だということです(目安としては50度を超えるともう危険。扱う際には必ずゴム手袋をしましょう! 「セスキ炭酸ソーダ」溶液を加熱しても同様です)。

また「セスキ炭酸ソーダ」の特徴として「水に溶けやすい」という点が挙げられます。裏を返せば、「重曹」のように穏やかなクレンザーとしての効果は期待できないということになります(『重曹ペースト』のような使用法もちょっとできません)。

けれども、ここでもう一度裏を返しますと、「重曹」はいささか水に溶けにくいのです(8%の濃度で飽和水溶液になってしまうよう。実際に水に溶かして試してみると自明です)。溶かす水の温度にもよりますが、水溶液を作ろうとしても溶け残りが気になったり、スプレーボトルなどの場合「詰まり」が起きることがあります。

けれども「セスキ炭酸ソーダ」はきわめて水に溶けやすい性質を持っていますので、「水溶液スプレー」として活用する分には「セスキ炭酸ソーダ」のほうが扱いやすいといえるでしょう。

同じ文脈で、洗濯に使う場合(布ナプキンに付いた血液を落とすのに「セスキ炭酸ソーダ」を愛用している人は多いはず)も、溶け残りをほとんど心配する必要がありません。

また、水に溶けやすく溶け残りが無いとはいえ、「重曹」よりアルカリ性が強い分、お掃除などに使う量はごく少量で済みます。

もともと「重曹」「セスキ炭酸ソーダ」のような「アルカリ(洗浄)剤」は、環境負荷の小さい無機塩類(正確ではありませんが、ざっくり言えばいわゆるミネラルのこと)なので、通常使うような量であれば一般的な石けんや合成洗剤よりも、心置きなく使うことができるのです。

「セスキ炭酸ソーダ」でおよそ1%の水溶液を作るなら、水500ccに小さじ1杯が目安になります。本当に微量です(汚れに応じて濃度は加減しても良いと思います。ちなみにガイドは台所用の水溶液スプレーは5%で作っています。人によっては手荒れするので気をつけたほうが良いと思いますが……などなど、詳細な使い方は次の記事で!)。

「大掃除!!セスキ炭酸ソーダ使いこなし術【応用編】」に続く


【参考サイト】
生活と科学社「石けん百科」
京都大学理学部化学教室 吉村洋介のホームページ内「セスキ炭酸ナトリウム(トロナ)について」

【参考文献】
『暮らしの中の洗浄』(辻薦著/地人書館/1994年)

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