バッテリーライフは倍増!
常に当ガイド記事ではバッテリーライフをピックアップするように心がけている。撮影感覚に大きく寄与する部分だからだ。バッテリー切れが念頭にあると、自由に撮影できなくなってしまう。「あー、ちょっと撮っておきたいけどここで撮っちゃうとあとで困るかも」というような思考が先に出てきてしまうのだ。
その点、DSC-T30のCIPA準拠(用語解説)で420枚という成績はデジカメ単体で旅行に携行可能なほどの成績だ。DSC-T9のCIPA準拠240枚という成績から比べると、ほぼ倍増といってもいいレベルになっている。
▲バッテリーはかなり大型化されており、その容量増加による恩恵は大きい。 |
これは単純にボディが大きくなったことによって大型のバッテリーを搭載できたことが原因なのだが。こういう面においてはボディの大型化も一概に否定すべきではないとも思われる。
バッテリー切れを念頭に置くかどうかは、CIPA準拠で200枚前後に分水嶺があるように感じている。レビュー用にまるまる一日中、撮影していても問題がないというのがこのあたりの数字からなのだ。
この点からするとDSC-T9もDSC-T30も充分に合格点が与えられるといえるが、DSC-T30にはより余裕があるといえるだろう。
動画撮影でも光学ズーム使用可能
おっと、動画撮影も基本的なスペックは変わっていない。MPEG-1で最大640x480ピクセルで撮影できる。撮影できるピクセルサイズなどは変わっていない。ただし、光学ズームが使えるようになっているところが異なる。
▲レンズユニットは変わっていないようだが……。 |
コンパクトスタイルで動画を撮影する場合、気になるのはズームの音を拾ってしまわないかということだが、かなり静かな場所であればわかることもある、というていどに収まっている。これはズームの速度がかなりゆっくりとしたものになっていることも影響しているだろう。
屋外であればほとんど気にならないのではないだろうか。
よくはできている……できてはいるが……
さて、最後に画質だがDSC-T30はやや派手な発色をするという印象である。これがCCDの素性に起因しているのか、あるいは画像エンジンのチューニングとしての結果なのかは不明だが。また、ホワイトバランスはDSC-T9よりもDSC-T30のほうが光の雰囲気を残す傾向にある。白熱灯であればやや赤めに、蛍光灯であればやや緑になるというイメージだ。詳細は実写画像にていくつか比較用の画像を用意しているので、そちらを参照していただきたい。
ほぼすべての面でDSC-T30はDSC-T9のスペックを上回っているといえるだろう。
大ぶりになっているものの、ポケットに入るレベルであることは変わらない。唯一、大きく異なるのは質感だ。
▲質感で上回っているのは、このスライドスイッチだけかもしれない……。 |
こうして比較してみると、併売されるというDSC-T9を積極的に購入するという要因はないように思われる。
しかし、筆者がどちらを選ぶのかと言われれば、悩みに悩んだ上でDSC-T9になるだろう。
DSC-T9にはかつてのソニー製品が持っていたなにかがある……非常にあいまいな部分ではあるが、確実にある。
それが筆者をひきつけるのだ。
ただし、バッテリーライフなどスペックとして必要とする部分があるのならば、いうまでもなくDSC-T30を選択するべきだろう。DSC-T9よりも物欲の対象としてはなりづらいものの、DSC-T30も非常によくできた製品ではある。
DSC-T30とDSC-T9のどちらかを選ぶことは、自分がデジカメに必要とするものがなにであるか、その判断材料がなにであるかを認識することにもつながるだろう。
・Page1 DSC-T9と比べてみよう ・Page2 細かな改良点で使いやすく ・Page3 デジカメ選びになにを優先するのか? ・Page4 Cyber-shot DSC-T30 スペック&実写画像 |
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