RAWデータとは、画像エンジンをほとんど介さずに撮影されたデータ形式のこと

デジタルカメラにおいて、画質は主として3つの要素から構成されているという話を、当ガイドサイトでは何度かしている。すなわち、撮像素子、画像エンジン、そしてレンズである。

しかし、デジタルカメラにはその中の画像エンジンを(ほとんど)介さない撮影形式がある。それがRAWと呼ばれるデータ形式だ。

多くのデジタル一眼レフに搭載されており、JPEGと同時に撮影できることが多い。また、『高級機』と位置づけられているコンパクトデジタルカメラにも搭載されていることがある。

そもそもRAWとはなにか。RAWという単語を英和辞書で引いてみると、以下のようになっている。
【raw】 a. 生の; 未加工〔未処理〕の; 未熟な (a ~ soldier);
(天候が)じめじめして冷たい; すりむけた, ひりひり痛む (sore); 《話》 下品な; 不当な.
【三省堂 デイリーコンサイス英和辞典】より引用
この場合のRAWとは、未加工、未処理のデータ、すなわちCCD、CMOSなどの撮像素子から得られたそのままのデータのことを指している。

JPEGで記録する場合は、デジタルカメラ内部で撮像素子からのデータを画像エンジンが変換し、JPEGとして記録するという経緯を経ていた。
RAWはJPEGへの変換過程をスキップし、撮像素子からのデータをそのまま記録することとなる。なお、JPEGとRAWは相反する概念ではなく両方の形式で同時に記録することも可能だ。

そのため、RAWでの撮影とJPEGでの撮影ではいくつかの差異が生まれてくる。
 

RAWデータの長所と短所


1. RAWデータは白トビ、黒つぶれに強い
詳細は後述するがJPEGでの記録よりも、RAWでの撮影は広域な色情報を持っているため白トビ、黒つぶれに強い。

JPEGでの撮影では白トビしてしまうような画像であっても、RAW撮影であれば粘って画像が残っているということもあるわけだ。

具体的には以下の画像を見ていただきたい。
 
JPEG記録での画像

JPEG記録での画像。かなり白トビしていることが分かる。

RAW記録での画像。情報が充分に残っている。

RAW記録での画像。情報が充分に残っている。


上の画像はJPEG、下の画像はRAWで同時記録した同一の画像から等倍で切り抜いたものである。JPEG側がほとんど白トビしているのに比べ、RAW画像は充分に情報が残っており、コンクリートの質感が伝わり、かつ壁が窪んでいることがわかる。

原則として、RAWで撮影するほうが高い画質で記録ができるというわけだ。

2. RAWデータには劣化・味付けはない
RAWデータには劣化を伴うような圧縮を施していないため、JPEGのような劣化はない。

また、画像エンジンによってJPEG画像には各社独自の味付けが為されることが多い(たとえば「いかにもキヤノン的な鮮やかな絵作り」というように)。
しかし、RAWデータは生(き)のものなので、そういった味付けがされておらず、素材として撮影者の意図を反映することがより容易になるという特徴がある。
その一方で完全に素材となってしまうので、鮮やかな色作りをしたいときにイチからユーザーが現像処理(後述)を施さなければならないという面もある。

3. RAWデータは容量が大きい
と、RAWでの撮影は高い画質が保証され、長所ばかりに思えるかもしれない。しかし、そうとばかりは言えない側面もある。
たとえばキヤノンのEOS Kiss X3で比較してみよう。JPEGで撮影するともっとも圧縮率の低いモードでも1枚につき5MBていどのファイルサイズとなる。これがRAWで撮影すると1枚につき20.2MBというファイルサイズになるのだ。

これはJPEGが画像を8bit(256段階)で記録しているのに比べ、RAWでは14bit(16,384段階)で記録していることに由縁する。この bit数は機種によって12~16bitと変化するが、どちらにせよJPEGよりも圧倒的にファイルサイズが大きくなることに変わりはない。

RAWで撮影する場合は、できるだけ大容量のメモリーカードを用いたい。

4. RAWデータは格納に時間がかかる
上記のような理由でファイルサイズで数倍の差があるため、どうしてもメモリーカードに記録する際の時間がかかるようになってしまう。そのため、JPEGであればメモリーカードの容量いっぱいまで記録できるデジタル一眼レフであっても、RAWでは5~6枚ていどの連写しかできないということが多い。

前述したEOS Kiss X3ではRAWでの連写は9枚まで、RAW+JPEGでは4枚までとなる。一方でJPEGであればラージ/ファインで170枚の連続撮影が可能だ。

RAWで撮影する場合は、CFであればUDMA対応、SDカードであればCLASS10といった高速なメモリーカードを用いたい。

5. RAWデータには互換性がない
ごく一部のデジタルカメラではAdobeの提唱しているDNGという互換性のあるRAWファイルが採用されているが、多くのデジタル一眼レフでは各社独自のファイル形式となっている。

そのため、一般的な画像ビュワーで見ることが難しい。また、各社のRAWファイルに対応している画像ビュワーであっても、新機種の対応には遅れが出る場合が多い。

6. RAWデータは現像(ソフト)が必要となる
上記の互換性がないこともあり、PC等で画像を見るためには現像と呼ばれる過程を経なければならない。一部の機種ではデジカメ内部で現像処理を行うことも可能だが、現在のところ、各社が用意している現像ソフト(同梱のものや別売りのもの)かサードパーティ製の現像ソフトを購入しなくてはならない。

●各社提供のもの
・ニコン Nikon Capture NX(別売・体験版DL可)
・キヤノン Digital Photo Professional(同梱)
・オリンパス OLYMPUS Studio2(別売・体験版同梱)
・ソニー Image Data Converter SR Ver.3(同梱)
・ペンタックス PENTAX PHOTO Laboratory 3(同梱)
・パナソニック SILKYPIX Developer Studio 3.0 SE(同梱)

●サードパーティ製のもの
・市川ソフトラボラトリー SILKYPIXシリーズ
・Adobe Photoshop Lightroom
・PHASEONE Capture One
・DxO Optics Pro

複数メーカーのデジタル一眼レフを所有している場合、サードパーティ製のものを購入して操作感を統一するというのも手だ。ただし、純正・サードパーティ製の現像ソフトはすべて異なる現像結果となることも知っておくべきだろう。

サードパーティ製の現像ソフトの多くがフル機能を使用することのできる体験版を用意しているので、充分に試してみてから購入することをお勧めする。

また、現像だけであればPhotoshop Elementsなどの安価な製品でも可能ではある。ただし、大量のRAW画像の自動現像といような作業には向いていない。
 

RAWでの記録を選ぶべきか否か

さらにRAWは原則的に高画質であるとはいえども、上記のように大容量かつ高速なメモリーカードを必要とする。筆者は一般ユーザーの9割以上はRAWでの撮影を必要としてないのではないかとも思っている。基本的にはJPEGによる撮影で、ほとんどのユーザーが満足できる画像を得ることができるはずだ。

今回のガイド記事で記述したRAWによる撮影における長所短所をしっかりと確認した上で利用していただきたい。

■参考ガイド記事
RAWデータどうしてる? ElementsとLightroom (CG・画像加工)
 RAWデータの現像処理のためのツールとしてのPhotoshop ElementsとPhotoshop Lightroomの比較されています。
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