IT関連資格では、技術的な出題が多いと思いますが、実際に会社で仕事をする場合、技術的なことに加えて業務知識(仕事のやり方)があれば、さらに技術が活きてきます。特に、SE(システムエンジニア)の場合は、業務系SEと言ってお客様の会社の業務を分析して業務効率が向上するようなシステム設計を行う職種があります。今まで販売管理や生産管理の業務知識についてご説明しましたが、今回は業務知識シリーズの最終回としてシステム導入に伴う業務知識の活かし方についてご説明します。
業務知識の必要性
業務知識と技術的知識は車の両輪だ! |
業務知識の習得法
それでは具体的に業務知識はどのようにすれば習得できるでしょうか。最も確実に業務知識を得る方法は、実際にその業務を経験することです。以前、私がシステム会社に勤めていたときに、生産管理システムの開発が得意なSEの方がいました。この方は、10年間製造業で働いていたので生産現場の仕事に詳しく、その知識を活かしてシステム設計をされていました。しかし、学校を卒業してすぐにシステム開発会社に入社した方は、そうもいきません。その場合、まずは本などを使った机上の勉強が必要です。業務知識を網羅的に書いている本もありますので、まずは机上の勉強から始めましょう。一方、机上の勉強はあくまで教科書的な知識しか習得できません。実践的な知識はやはり経験しないと習得できません。例えば、販売管理システムのプログラムを開発しているとします。SEからプログラム設計書が渡されたら、なぜこのような処理をするのか聞いてみましょう。例えば、「受注入力の後に、受注された商品を在庫データ削除する」という仕様があったとします。この時、「どうして在庫データを削除するのですか?」と聞くと、「受注された時点ではまだ出荷していないので倉庫に在庫があるが、在庫データを削除しないと他の受注で引き当ててしまうからだよ」とSEは言うでしょう。このように、販売管理の業務知識がない場合、疑問に感じたことをSEに聞くことによって、徐々に業務知識がついていきます。最後は実践する
プログラマで経験を積めば、次はSEとして実際に客先に言ってシステム設計のためのヒアリングを行います。この時期ではまだ十分な業務知識がないので、お客様と対等に話しができません。ここで最も注意することは「知っているふりをしないこと」です。知らない業務知識について知っているふりをして設計すると、後で使えないシステムになってしまいます。ですので、知らない業務知識については正直に「知りませんので教えてください」といいましょう。私の経験上、このように言ったほうが客先は丁寧に教えてくれます。また、あるべき業務の姿を知っていると客先業務を改善することもできます。以前私がSEのときに、ある会社の販売管理システム開発のためにヒアリングをしました。通常、商品を受注して商品を出荷する場合、納品書を添付します。この時客先の担当者は、「納品書を2枚出したい」「1つは出荷先(仮にA社)で、もう1つは別の会社宛(仮にB社)に」と言います。そして納品者の宛先もA社、B社それぞれの会社宛にしたいといいます。
通常、商品を送っていない会社に納品書は送りませんので担当者の方にどうしてですか?と聞くと、つまり注文はB社からきます。そして商品はA社へ送ります。ですので、注文をしたB社に本当の商品を送ったという証拠としてB社にも納品書を送るのですといわれます。もしこれをシステムで実現しようとすると、納品書の宛先をマスタに2つ登録して、納品書を2枚印刷する事になり、システム的にも業務的にも非効率になります。ですので、その時私は、こう言いました「B社には本当にA社に送ったという証拠のために納品書を送るのですね」「それならA社へ送った納品書をコピーしてB社に送ればどうですか」と。すると客先の担当者は、「確かにそれでもいいですね」ということで、結局納品書はA社宛のもの1枚だけを印刷することになりました。このように、業務について知っていると業務改善にもつながります。ぜひ、システム開発に携わっておられる方は業務知識の取得を行なってください。
<関連リンク>
資格に役立つ業務知識:生産管理について
資格に役立つ業務知識:販売管理について