前回、新しい情報処理技術者試験の概要についてご説明しました。今回からシリーズで新試験の人材像を想定してご説明していきます。今回は、レベル1(ITポスポート試験)です。これから受験される方は、自分がなりたい姿を想定してみてはいかがでしょうか。
役割と業務新制度の手引きによると、ITパスポート試験には次の業務と役割が求められています。
職業人として備えておくべき、情報技術に関する共通的な基礎知識習得したものであり、担当する業務に対して情報技術を活用し、次の業務を行う。
(1)利用する情報機器及びシステムを把握し、活用する。
(2)担当業務を理解し、その業務における問題の把握及び必要な解決を図る。
(3)安全に情報の収集や活用を図る。
(4)上位者の指導の下、業務の分析やシステム化の支援を行う。
(独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験 新制度の手引きより引用)
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ITパスポートで第1歩を踏み出せ! |
手引書から推測すると本試験の人材像は、パソコンやインターネット、及び会社内の情報システム(販売管理システムなど)をうまく活用し、自社の業務の問題点を見つけ解決できる(或いは、上位者の指導の元に解決)役割を担う人材です。例えば、パソコンやOS(Windows)との関係やネットワークの基礎的な仕組みを理解している。ウィルス感染防止のための対策を理解している、情報システムの利用方法を理解しているなど、基礎的なITを理解している人材でしょう。また、どちらかというと、情報システムを開発する能力よりも利用/活用する能力が重視されているようです。その意味で、従来の初級シスアドに近い人材が想定されます。
必要な技術水準新制度の手引きによると、ITパスポート試験には次の技術水準が求められています。
(1)利用する情報機器やシステムを把握するために、コンピュータシステムやネットワークに関する知識を持ち、オフィスツールを活用できる。
(2)担当業務を理解するために、企業活動や関連業務の知識を持つ。また、担当業務の問題把握及び必要な解決を図るために、システム的な考え方や論理的な思考能力を持ち、かつ、問題分析及び問題解決手法に関する知識を持つ。
(3)安全に情報を活用するために、関連法規や情報セキュリティに関する各種規定に従って活動できる。
(4)業務の分析やシステム化の支援を行うために、情報システムの開発及び運用に関する知識を持つ。
(独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験 新制度の手引きより引用)
手引書から推測すると、ITパスポート試験での人材像は、パソコンの基本的なハードウェア(CPU、メモリ、HDD)の基礎知識をもち(カタログから性能を把握できる程度)、ネットワークの仕組みや機器の基礎的知識を持つと共に、ワープロ、表計算ソフトなどを活用できる能力が必要でしょう。また、会社内の業務の流れや内容を理解しており、業務的な問題があった場合、システムをどう活用すれば解決できるかを考えることが能力も必要です。さらに、ネット活用で問題になる著作権法なども理解しており、自社の業務をシステム化する場合も手順なども理解している必要もあります。
ITパスポート試験では、ユーザー企業/システム開発企業に関わらず、入社2年~3年程度で自社の業務を理解しており、かつパソコンやインターネットの仕組を理解して活用できる、さらに自社の業務をシステム化するときには、システム開発会社との窓口になれる程度の能力を持つ人材が想定されているのではないでしょうか。
例えば、従業員50人までの中小企業で、パソコンが数台(或いは10台以上)あり、販売管理システムやインターネット利用環境があるとします。各パソコンへソフトをインストールしたりウィルス対策ソフトを導入したり、さらに販売管理システムを開発する業者に利用方法を伝え、システムと業務の不整合があれば問題指摘を行う。このような業務や役割が想定されるでしょう。
これから、社会人になる学生の方や入社3年目くらいまでの方は、まずはITパスポート試験に挑戦し、IT化人材の第1歩を踏み出してはいかがでしょうか。
■ITパスポート試験(レベル1)
会社で仕事をする上で必要な基礎的なIT知識が問われます。従来の初級システムアドミニストレータ試験と同等レベルですが、ストラテジ系(戦略)、マネジメント系(管理)、テクノロジ(技術)の3分野から幅広く出題されます。これから、IT化人材になろうという方の入門的な試験です。
・試験時間:165分 出題形式:多岐選択式 出題数/回答数 100問/100問
ITパスポート試験の手引き(PDF形式)
<関連リンク>
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