システムアドミニストレータのお仕事とは?
システムアドミニストレータ(以下、シスアド)と聞くと、情報処理技術者試験を思いうかべますが、シスアドは資格だけでなくりっぱな職種の1つと言ってもいいでしょう。今回は、シスアドのお仕事と資格についてご紹介します。
<シスアドA君の1日>
A君は、中堅製造業(B社)の総務課に勤める25歳の男性です。コンピュータ系の専門学校を卒業したあと、B社に入社しました。今日はA君の1日を見てみましょう。
8:00
出社したらまずメールチェックを行います。製造部のDさんから 生産管理システムがうまく動かないことがあるので、後で見に来て欲しいと連絡が入っています(どうやら、今日も忙しくなりそうです)。
8:30
先月からスタートした全社的な「業務改善プロジェクト」のミーティングに参加。現在の業務と情報システムの機能があっていないということで、Aさんは現状業務の分析を行うことになりました。
10:00
業務分析のための製造部へ行きます。ついでにDさんにシステムの不具合について聞いたところ、製造指示書に印字されている原材料が倉庫にないそうです。どうやら在庫管理がきちんとできていないようです。
シスアドのA君は大忙し |
12:00
製造部で業務ヒアリングをした結果、倉庫から原材料を持ち出すときに、きちんとシステムに出庫記録を入力しないことが判明しました。これでは、システム内の情報と現物が合わないわけです。まだ他にも問題がありそうですが、とりあえず午後からは在庫管理について改善案を考えましょう。
13:00
出庫記録を入力しない原因を聞いていくと、どうやら今のシステムでは入力する時に、いちいち材料の品番を入力しないといけないので、それが面倒なので入力せずに材料を持ち出す人がいるようです。入力を簡単にするために、バーコードを利用するのもいいようです。
15:00
入力方法の改善案を考えていると、いきなり電話がかかってきました。営業部のパソコンがウィルスに感染したようです。どうやら営業部のパソコンの中にワクチンソフトの更新ができていないものがあったようです。
16:00
ようやくウィルス退治ができてホットしていると、今度は企画部のEさんがやってきて、エクセルのマクロの使い方を教えて欲しいということです。
17:30
Eさんがマクロの使い方を理解して解放されたA君ですが、今日は定時後にIT研修会がありその講師をやらなければなりません。B社では各職場に情報化推進リーダーを作るために、週に1回研修会を行っています。A君は研修会の講師もやっているのです。
20:00
研修会が終わり、帰り支度をしています。明日は、情報システムを開発したソフト会社と在庫入力の改善方法を打合せしないといけません。明日も忙しくなりそうですね。
このようにシスアドのA君は、会社の中のシステム利用に関するほとんどの業務を担当しています。情報処理振興機構によるとシスアドの主要業務は次のものだとしています。
シスアドは情報化企業のキーマン! |
●業務改善の立案
情報システムを導入する前に、現状の業務を分析し「ムリ」「ムダ」「ムラ」をなくすための業務改善案を立案します。また、現状の情報システムがうまく利用されていない場合、その原因を突き止め業務がうまく行くようシステムを改善することもあります。A君の場合は、材料を出庫する時に入力画面が使い難いのでバーコードを利用した入力ができるような改善案を考えました。
●情報システム構築の支援
情報システムを構築する場合、現場の利用者の要望を聞いたり、システム操作の教育などを行い、ソフト会社がシステム開発をするための支援を行ないます。今回A君は、出庫入力の方法を改善するため、ソフト開発会社に入力方法を提案しています。
●情報システム環境整備及び利用者支援
情報システムの環境整備とは、ユーザーがシステムを利用しやすいようにパソコンやプリンターなどのハードウェアをそろえたり、必要なソフトを購入してインストールするなどの仕事です。A君はコンピュータウィルスに感染しないように、ワクチンソフトを全てのパソコンにインストールしています。今回はたまたま、1台だけワクチンソフトの更新を忘れたので、ウィルスに感染したようです。また、エクセルの使い方が分からなかったら教えたりもします。
●情報システムの運用管理
システムの運用管理とは、情報システムが使いたい時にきちんと使えるように、常に整備することです。また、トラブルがあればヘルプデスクの機能も担います。さらに、システムの利用技術を向上させるための指導も行わなければなりません。本当にシスアドの仕事は大変ですね。
シスアドのスキル
シスアドの仕事は大変ですが、システムを利用する企業にとってはなくてはならない人材です。それでは、シスアドにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。次にシスアドに必要なスキルを上げてみました。・WindowsなどのOSが使えること
・プリンタやスキャナなど周辺機器の知識があり、利用できること
・エクセルやワードなどのアプリケーションが使いこなせること。
・ネットワークに関する経験や知識があること。
・BASICなどを使い、簡単なプログラムが作れること。
このようなスキルは一朝一夕には身につきませんが、まずは情報処理技術者試験の初級アドミニストレータ試験に挑戦し、資格を取ることもいいでしょう。しかし、シスアドとして仕事をするためには、資格だけでなく実務経験も必要です。まずは興味を持ってパソコンなどを操作してシステム機器に慣れることも必要です。尚、シスアドには技術的なスキルだけでなく、コミュニケーションスキルも必要です。現場のユーザーが困っている時に、何が原因で困っているのか、どうすれば解決できるかを的確にヒアリングする必要があります。つまり、シスアドは人と接する機会が多いのです。そのため、人の話をうまく聞くスキルや理解し易い言葉で話をするなどの、コミュニケーションスキルが必要になるのです。さらに、情報化リーダー育成の研修会で講師をすることもあります。情報処理技術者試験では、コミュニケーションスキルまでは問われませんが、実務でシスアドをする場合は重要なスキルになります。
いかがでしたか?シスアドのお仕事を理解して頂けたでしょうか。シスアドは、ITを使う企業にとっては、キーマンになります。今後ますますITを利用する企業が増えてきますので、シスアドに対するニーズも高まるでしょう。まずは、情報処理試験を目指し、そして実務経験をつんで、真に役に立つシスアドを目指してください。
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