
年齢性別を問わず、世の中、「無理を続けている」人は多いのかもしれない。ただ、一般的にはどうしても女性の「無理」が目立つようだ。
家事育児に疲労困憊
「30歳で結婚してから4年間で3人出産しました。私も子どもは好きだけど、さすがに体力の限界でした。子どもは産んだら終わりじゃない、そこからがスタート。なのに夫がする育児は、週末、お風呂に入れるくらい。私がひたすら頑張るしかありませんでした」
過去を振り返ってそう話してくれたミチさん(42歳)。何度か倒れたこともあるが、「結局は私が頑張らないとどうにもならなかった」ため、そのたびに点滴などでしのいできた。もともとスポーツ好きで体力があったのでなんとかなったのだろう。
「今は子どもたちも10歳、9歳、7歳になって体力的には私も少しは楽になりましたが、時間的、精神的には大変な状況が続いていますね。一番下が小学校に入るころ、夫から『時間ができるのだから、パートでもすれば』と言われました。それまでどれだけ私が必死だったか、この人にはまったく分かってないと絶望しましたね」
夫は横暴なタイプではないのだが、何か頼んでものらりくらりとしてやってくれない。子どもが小学校に上がるから、妻には時間ができるはず。だったら生活のためにパートで仕事をしてほしいというストレートな気持ちを言葉にしただけらしい。
「悪い人ではないけどつかみどころがないというか……。だったらどうして結婚したんだと言われそうですが、当時はお互いに大恋愛だと思っていたんですよね。ただ、家庭を築くという意識は薄かったんだと思う。子どもはかわいいからたくさんほしい、できれば年の差があまりない方がいいという単純な理屈だったんでしょう。それに乗せられた私もよくなかったけど……」
実家の父が倒れて
パートをしながら3人の子を育てる日々を送るミチさんだが、つい先日、実家の父が倒れたと連絡があった。夫に連絡をとり、すぐ実家に行くからと言うと「えー、ごはんどうしよう」というのが夫の返答だった。
「またまた絶望しました。デリバリーでもなんでもしてよと言うと、分かったと。結局、父が落ち着いたので、私は3日ほどで帰ってきたんですが、家の中の荒れようはすごかった。子どもたちに聞いたら朝は菓子パン、夜はデリバリーでなんとかしのいだそうです。洗濯はしていないから山のようになっていたし、夫は帰りにお菓子を買ってきては子どもたちに与えていた。私はお菓子はあまり食べさせないようにしていたのに。夫が何も言わないから子どもたちも夜更かししたり宿題をしなかったりと、たった3日で生活が崩れていました」
自分が頑張ってきた日々の規則正しい生活は、あっけなく壊れてしまったとミチさんは言う。そこからまた規則正しい生活を取り戻すのは、かなり大変だったそうだ。
「夫は『お母さんがいないとダメだなあ』と言ったけど、ちっともうれしくなかった。親としてどうよと夫に対する不信感が増しただけ。今後も私が無理するしかないんだなと暗い気持ちになりました」
誰かの無理の上になりたつ日常生活、その負担が母親だけにかかっているのがなんともせつない。
義父母と実母の介護に追われる日々
「義両親と同居しながら、近所に住む実母の介護にも追われています。夫は多忙を理由にほとんど手を貸してくれない。3人とも生活するには不自由だけど、全面的に介護が必要というわけでもないので、よけい私に無理がかかるんでしょう」
ルリコさん(51歳)は表情を曇らせながらそう言った。実母は83歳、義父は90歳、義母は87歳になる。実母は近所で一人暮らしだが身の回りのことは一人でできる。ただ、料理をほとんどしない。一時期は冷凍のお弁当を宅配してもらっていたのだが、「口に合わない」と食べてくれないので、今は夕飯のおかずだけルリコさんが運んでいる。
義父は足が悪くて、家の中はなんとか杖にすがりながら歩いているが出掛けるのは難しい。義母は義父の介護で腰を痛めてしまっている。
「寝たきりとかなら施設に入れるとか対応もできるんですが、それぞれなんとか生活ができる、でも介助はほしい。そういう状態なんです。それを私が全てケアしないといけないのがつらい」
いつまでこの生活が続くのか
結婚して20年、一人娘は遠方の大学で学んでいる。ずっとパートで働いてきたルリコさんだが、このところ3人の世話にかかる時間が増えてきたため仕事を辞めた。
「ヘルパーさんも頼んではいますが、3人とも介護度が高くないし、そもそも介助が必要なのは、日常的な細かいことなんですよね。だから義両親に関しては同居している私に負担がかかってくる。自宅と母のところを日々往復しながら、私は何をやっているんだろうと感じることもよくあります。自分の人生はどこにいったんだ、と」
まだ50代、やりたいこともたくさんある。だが老いた親の面倒をみるだけで、毎日が過ぎていく。3人まとめて施設に入れたいのが本音だが、そういう資力はない。
「いつまでこの生活が続くのか。何にもいいことがないなと日々、感じています」
ルリコさんの本音は他人事ではない。







