
人手不足の影響だろうか、スーパーやコンビニなどのセルフレジが増えている。慣れている人にとっては、特に購入点数が少ない場合、セルフレジは使い勝手がいい。ところがやはり、中高年以降の人たちにはハードルが高いようだ。
スーパーのセルフレジに行列が……
セルフレジは、自分が購入したもののバーコードを読み取らせていく。まず、買い物客はそれに慣れていない。
「うちの近くに新しくできたスーパーは、セルフレジが10個くらいあって、有人レジが2つ。でも有人レジはほとんど開くことがないんです。仕方なくみんなセルフレジで支払いをするんですが、高齢者が多いこともあって進まないんですよね……。保育園に子どもを迎えに行ったり、迎えに行ったあとに子どもと一緒に行ったりすると、セルフレジに行列ができていてイライラしてしまう」
そう言うのはキョウカさん(40歳)だ。小学生の娘と保育園の息子を共働きで育てているため、毎日が疾走状態というほど忙しい。近くにスーパーができたから便利になったと喜んでいたのだが、レジだけが気になっていた。
「先日、セルフレジでとまどっている高齢女性がいたんです。隣で同じように会計しているやはり高齢女性がいて、その人に何か話しかけていましたが、結局、二人ともよく分からないみたいで……。レジが2つストップしている状態。後ろに並んでいる人が教えていましたが、それでもなかなか進まない。店の人は10個のセルフレジを見ているのでてんてこまいになっている」
怒鳴り出す中年男性に
そのとき、一人の男性が声を上げた。「おい、ばあさん、いいかげんにしろよ。さっさとやれよ」と。「こんなに客を並ばせて平気でいるこの店もおかしいだろ」と大声を出した。自分で怒ってさらにヒートアップしていくタイプだったよう。
「他の人は見て見ぬふりをしながら、怖くて嫌だなあとか面倒だなあという顔をしていました」
そこへようやく店員が駆けつけ、さらに有人レジも1つ開けて、セルフレジが分からない人はどうぞこちらへと案内があった。
「セルフレジにチャレンジしようとする人には、1度、きちんと店員がついて教えた方がいい。それをやる気がない、あるいはどうしても分からない人のために、有人レジは必ず1つは開けておいた方がいい。そう思ったので、帰りに店員さんにそう話しました」
次に行ったときは有人レジが機能していた。
有人レジはあるけれど
それでも問題はまた起こった。今度は有人レジで、小銭を一つひとつ出している高齢者がいて、後ろの人たちがイライラするようになっていたのだ。
「混んでいるときは小銭を出さずにおつりをもらえばいいのに、どうして1枚1枚、財布からつまみだして時間をかけるのか、さっぱり分かりませんよね。周りもみんなそう思ってる。でも本人だけが急いでいない」
そのとき、次の次に並んでいた母親が連れている、小学校に上がるかどうかの女の子が、「おばあちゃん、どうしてそんなにゆっくりなの? みんな待ってるよ」と言った。母親はあわてふためいて娘を制した。すると高齢女性がハッとしたように振り向き、「ごめんなさい。気付かなくて」と焦りだした。
周りが見えていない高齢女性
「レジの女性が『急がなくていいですよ』と言いましたが、高齢女性は『ダメね、周りが見えてなくて』って。そうか、後ろに人が並んでいることに気付かないままという人もいるのかと改めて知りました。家族がいれば、そういうことも話題になるかもしれないけど、おそらくあの方は一人暮らしなんでしょう。自分では遅いと思っていない、自分のペースでお金を出しているだけ。でもそれが他から見たら、ものすごくゆっくり。もちろん混んでいなければかまわないけど、混んでいるときにはそれなりに対応しなければいけない。彼女もそれは理解したようでした」
キョウカさんは、新しいスーパーが徐々に機能していくようになるのをここ数カ月で見届けた気分だと言った。いろいろな人がいるが、結局、店員と客がいろいろやりとりしながら、店というのはできあがっていくのだと思ったそうだ。
「店には店の方針があるんでしょうけど、高齢者の多い時間帯とか、あるいはセルフレジに慣れた人が少ないかどうかとか、観察は必要だと思いますね。私はただの近所に住んでいる者ですが、店の『ご意見箱』に何度か意見を書き入れました。店側も、ちゃんと対応しようとはしてくれている。人手不足でも、工夫次第でなんとかなる、いや、なんとかしないといけないんでしょうね」
そうやって「私たちのスーパー」ができあがっていくような気がすると、キョウカさんはにこりと笑った。







