年金支給が始まる65歳以降、どのような働き方や備えがあればゆとりある老後を迎えられるのでしょうか。
All Aboutマネー編集部が年金受給者向けに実施した「年金以外の収入」に関するアンケートから、年金にプラスして就労や資産運用、副業などで自分らしい生活を送る受給者の皆さんのリアルな事例を取り上げます。
それぞれのグッドポイントや注意点について、経済ジャーナリストの酒井富士子さんが解説します。
回答者プロフィール
東京都在住・72歳男性
世帯構成:夫婦
年金収入(月額):本人30万円(70歳以降に繰り下げ)/配偶者10万円
年金以外の収入(月額):不動産収入15万円

30代の若いうちに、借金をして賃貸マンションを複数区分所有し、年金以外の副収入を得ようと準備しました。不動産収入は、駅に近くて賃借人の需要が多い収益性の高い物件を選ぶことができたので、空室率が低くて安定した収益が得られました。
ただ、予想外に賃借人が早く契約解除をして、空室になった場合の原状回復工事などに費用がかかり、再募集から入居までタイムラグが生じるなど、その間の管理費用が持ち出しになるのが精神的に不安です。
1. 老朽化リスクがあるなら「売って現金化」が一番
区分マンションを持っていると家賃収入が入る魅力はありますが、30代で購入しているということは築年数も進んでいると思います。古くなると修繕積立金の値上がりや突然の設備故障、空室リスクなどの負担が増していきます。何より、80代、90代と高齢になってからそれらに対応するのは本当に大変です。
回答者さんは年金(夫婦で月40万円)で十分以上に生活していける基盤があります。管理や修繕で頭を悩ませるようであれば、状態がよい今のうちに売却して「現金化」してしまうのが一番すっきりするのではないでしょうか。
2. 社会保険料・税金負担の割り切り
年金月40万円+不動産収入月15万円=年収約660万円となり、年金を受給される方としてはかなり高所得の部類に入ります。そのため、所得税・住民税だけでなく国民健康保険料や介護保険料も最高限度額に近い負担となります。入院したり、介護状態になった時の自己負担3割を支払うのが厳しくなる面もあります。
もし、不動産の節税対策などに頭を悩ませることがあれば「これだけ収入があるんだから、税金や保険料がかかるのは仕方がない」と割り切りましょう。もしくは、前述のように不動産を売って所得をシンプルに整理するほうが、精神的な安心感につながります。
3.「相続トラブル」にご注意を
高額な不動産を持っていると、万が一のときに相続手続きがかなり煩雑になります。不動産のままだと評価額や売却手続きを巡って親族間で負担や争いが生じることもあるでしょう。
元気で判断力がある70代のうちに、資産をシンプルで管理しやすい形(預貯金や有価証券など)へと変えておくなど、先々を見据えておきたいところです。
最後に:アンケート回答者から同世代へのメッセージ
不動産ローンを組むのであれば30代のうちに組み、定年退職時には完済しているのが理想的です。退職金をつぎ込んで繰り上げ返済するのは、おすすめしません。なぜなら退職金は、介護状態になった時に介護施設などに入所したときの維持費に使うように備えておいた方がいいからです。また、くれぐれも購入物件は収益性を十分考えるべきです。
<調査概要>
調査名:年金生活の収入と満足度に関するアンケート調査
調査方法:インターネットアンケート
調査実施日:2026年4月24日~5月7日
調査対象:60代~70代の51人(男性:35人、女性:16人)
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