今回は、『いちからわかる! 定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2026-2027年最新版 (impress mook)福地健 (監修)、酒井富士子(編集)』(インプレス)より、年金の繰り下げについての注意点を3つご紹介します。長生きに備える選択肢として、仕組みを理解した上で自分に合った受給タイミングを検討することが大切です。
受け取れなくなる年金に注意
年金の繰り下げをすると、1カ月で0.7%、1年間で8.4%も受給額が増えるため、老後のお金を増やすためにぜひ利用したい制度ですが、人によってはデメリットが生じるケースもあるため注意が必要です。
まず1つ目は、「加給年金」の受け取り期間に、繰り下げをしていると加給年金は支給されません。繰り下げ期間中に配偶者が65歳に達すると、加給年金は全額受け取り損ねることになります。加給年金は厚生年金の制度なので、このケースに当てはまる場合は、老齢基礎年金だけを繰り下げし、老齢厚生年金を65歳から受給開始すれば回避できます。
2つ目は、「在職老齢年金」制度です。給与と年金の合計額が一定基準を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が停止される仕組みですが、停止された部分は、繰り下げをしても増額対象になりません。つまり、働きながらの繰り下げは、将来の年金額が想定より少なくなる可能性があるのです。なお老齢基礎年金についてはこの制度の対象外のため、増額への影響はありません。
3つ目は、「特別支給の老齢厚生年金」。これは65歳になるまでの有期年金となるため、繰り下げの対象外です。65歳以降の年金を繰り下げるつもりでも、「特別支給の老齢厚生年金」の案内が届いた時点で受給の手続きをしましょう。
仕組みを理解して、自身の最適解を見つける
厚生労働省のデータ(2024年度)によると実際に繰り下げ制度を利用している人は、老齢基礎年金で2.6%、老齢厚生年金では1.9%。年々利用率はアップしているものの、全体で見ればほとんどの人が繰り下げを利用していません。
ですが、「人生100年時代」の長生きリスクに備える上で、年金を増やせる繰り下げ制度は有効な選択肢の1つと言えます。会社員であれば2つの年金のどちらか片方を繰り下げたり、夫婦世帯なら夫婦のどちらかが年金を繰り下げたりするなど、さまざまな選択肢が考えられます。
こうしたデメリットや仕組みを理解した上で、自分に合った受給タイミングを検討してみましょう。









