年金支給が始まる65歳以降、どのような働き方や備えがあればゆとりある老後を迎えられるのでしょうか。
All Aboutマネー編集部が年金受給者向けに実施した「年金以外の収入」に関するアンケートから、年金にプラスして就労や資産運用、副業などで自分らしい生活を送る受給者の皆さんのリアルな事例を取り上げます。
それぞれのグッドポイントや注意点について、経済ジャーナリストの酒井富士子さんが解説します。
回答者プロフィール
神奈川県在住・69歳男性
世帯構成:夫婦
年金収入(月額):本人21万円/配偶者9万円
年金以外の収入(月額):自作品のメルカリ販売5万円

趣味だったトールペイント(木製の家具や小物、布、陶器などにアクリル絵の具で絵を描くもの)を勉強し直しました。向上したその技術を生かして作品を制作し、メルカリなどを通じて販売して利益を得ています。
定年退職後の年金生活では、ありあまる時間をどのようにして使ったらよいか悩んでいましたが、これを始めたことで暇な時間の使い方で苦労しなくても済むようになったことがメリットであり、大変に満足しています。
トールペイントをメルカリで売るようになってすぐに、反響がありユーザーからのオーダーが入るようになりました。ただ、時としてオーダーが増え過ぎて負担となってしまうことがあります。
1. 月5万円の副収入は大きなインパクト!
年金だけでも生活基盤が整っている中で得られる「月5万円(年間60万円)」という副収入は非常に魅力的です。
元気に動けるうちに趣味や贅沢費として使うのも素晴らしいですし、特段使い道がないのであれば、老後資金(介護費用など)に備えてNISAでのつみたて投資(バランス型ファンドなどリスクを抑えた運用)に回して資産形成につなげるのも一案です。
なお、メルカリなどの販売による収入は「雑所得」に該当します。年間で20万円を超える所得が発生する場合は、しっかりと確定申告を行い税金を納める義務が生じる点に注意しましょう。
2. 「時間管理」を徹底し、メリハリのある生活を
定年後の時間活用や生きがいとして理想的な取り組みである一方、オーダーが増え過ぎて負担になってしまうのは注意が必要です。会社員時代と異なり、自室で作業をしていると朝から晩まで休日なく働いてしまうリスクがあります。
自宅内に「仕事部屋」を決めてそこに出勤。「朝9時~夕方5時まで作業する」「昼休みはしっかり取る」といったオン・オフの時間を明確にするルール作りをしてみてはどうでしょうか。
3. 将来のリスクを見越した撤退計画を
75歳以上になると、一定以上の所得がある人は公的医療費の窓口負担が1割から2割(場合によっては3割)へ上がってしまう制度があります。高齢になると通院や入院のリスクも高まるため、売上が増えて所得基準を超えてしまうと、かえって医療費負担が増えて損をしてしまうケースも考えられます。
「75歳になったら販売規模を縮小・終了し、プレゼントや自分だけの趣味に切り替える」といった将来の引き際(やめどき)を考えておくことも重要です。
最後に:アンケート回答者から同世代へメッセージ
ネット通販などを利用して、自分が制作した作品を販売して収入を得る場合には、目標とする収入と、それを得るために要する時間をうまくコントロールできないと、かえって負担となってしまいます。本音としては、趣味はあくまでも趣味として楽しんだほうがいいのかもしれません。
<調査概要>
年金生活の収入と満足度に関するアンケート調査
調査方法:インターネットアンケート
調査実施日:2026年4月24日~5月7日
調査対象:60代~70代の51人(男性:35人、女性:16人)
※回答者のコメントは原文をベースに一部整えています。
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