67歳のR子さんは、老後の趣味を考えたとき、「誰かと一緒に楽しむもの」よりも、自分のペースで無理なく続けられるものを見つけたいと思いました。
そこで、身近な場所で定期的に出掛けられるところに目を向けることに。人と適度に関わりながら、一人の時間も大切にできる。今回は、そんなR子さんの老後の過ごし方をご紹介します。

週1回のお寺通いが「生活のリズム」を生み出す
R子さんは、「毎日予定がある必要はないけれど、週に1回くらいは出掛ける予定があったほうが、生活のリズムになるかな」と考えていました。そんなときに見つけたのが、近所のお寺で行われている座禅会です。
人と適度に関わりながら、一人の時間も大切にできることが、R子さんには合っていました。座禅会は週1回。そのうち月1回は法話を聞きます。会費は1回500円ほどで、1カ月当たり2000円程度。「このくらいなら負担にならない」と感じたことも、続けやすい理由でした。
参加者同士で言葉を交わすことはありますが、座禅という目的があるため、無理に会話を続ける必要はありません。「人には会いたいけれど、ずっと一緒にいるような濃い付き合いはちょっと疲れる」そんなR子さんにとって、同じ場所に出掛け、同じ時間を過ごしながら、必要以上に気を使わなくていい距離感がちょうどよかったのです。
自宅では「写経」で集中する時間をつくる
座禅会をきっかけに、R子さんは写経も始めました。写経とは、仏教の経典を書き写す修行の1つで、一般的には276文字からなる「般若心経」を一文字ずつ書き写します。
必要なのは、ペンと手本、写経用紙など。筆やペンでゆっくり文字を書いていくため、1回に1時間ほどかかります。R子さんは、週2~3回、自宅で写経を続けています。
「書いている間は、そのことだけに集中できる。終わったときに『今日もできた』という感じがするのがいい」と。
文字を書く機会が減った今だからこそ、丁寧に一文字ずつ書くことそのものが楽しみになっているそうです。
書きためた写経が「次の楽しみ」をつくる
R子さんには、写経を続けるもう1つの理由があります。書きためた写経は、いつものお寺に納めていますが、将来は、浅草寺や増上寺、比叡山延暦寺、東大寺、大覚寺、四天王寺など、遠方の有名なお寺にも納めに行きたいと考えています。
「2年に1回くらいなら、行きたいお寺を目的に旅行するのもいいかなって」。
例えば、目的のお寺を訪ねることを中心に、日帰りや1泊2日の旅にする。そんな楽しみ方を思い描いています。
たまたま始めた週1回のお寺通いと、自宅での写経。それが少しずつ続いていくうちに、「いつか行きたい場所」が生まれ、数年先の楽しみまでできたのです。毎週の座禅は、その場限りの活動ではありません。写経を続けることも、将来の旅を思い描くことも、日々の小さな張り合いにつながっています。
お金をかけず、自分のペースで続けられる
老後の趣味というと、旅行やスポーツ、習い事など、ある程度のお金がかかるものを思い浮かべるかもしれません。
でもR子さんの場合、始めるのに大きな費用は必要ありませんでした。週1回のお寺通いに月2000円程度、自宅では写経を続ける。必要に応じて納経や旅行にお金を使うことはあっても、普段の趣味そのものには大きな負担がかかりません。
そして何より、自分一人の時間と、人と顔を合わせる時間を無理なく両立できることが、R子さんには合っていました。
老後の趣味は、週1回出掛ける場所をつくること。自宅でできることを1つ始めてみること。小さな習慣が、老後の毎日に心地よいリズムをつくってくれそうです。







