Q. 熱中症は少し休めば治りますよね? 実際に命にかかわるのはどのようなケースなのでしょうか

Q. 「熱中症の搬送者が増えているというニュースを見ました。私も数年前に熱中症になったことがありますが、乗り物酔いをしたときのように気持ちが悪くなっただけで、涼しいところで休んだら治りました。救急搬送されたり、命にかかわるほど危険な状態になったりするのは、どのようなケースなのでしょうか? 一度なったことがある分、そこまで怖いものだとイメージできません」
A. 熱中症において、軽症と重症は紙一重です。危険性を正しく理解しましょう
消防庁によると、2026年7月6日~12日の1週間だけで熱中症の救急搬送者は全国で4580人。そのうち7人の方が亡くなられてしまったと報道されています。
熱中症は、医学的には「熱失神」「熱痙攣(ねつけいれん)」「熱疲労」「熱射病」の4つに分類されますが、ここでは症状の重さに応じた「I度」「II度」「III度」という3段階の重症度で解説します。
I度の熱中症は、めまいや立ちくらみ、筋肉のこむら返り、大量の発汗や手足のしびれ、気分の不快感などが主な症状です。現場での応急処置によって回復できる、軽症の熱中症です。「休憩と水分補給で症状が治まった」という方の多くは、このI度にとどまっていたと考えられます。
一方、II度になると頭痛や吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感が現れます。医療機関への搬送や受診が必要になる段階です。
さらにIII度まで進むと、意識障害や痙攣、手足の運動障害、高体温に加え、肝機能異常や腎機能障害、血液凝固障害といった深刻な症状が現れます。この状態まで進行すると、医療機関への救急搬送後に、入院による集中治療が必要になります。命にかかわることも珍しくない、重度の熱中症の状態です。
年齢によって重症化のパターンにも違いがあります。子どもの場合はI度にとどまるケースが比較的多い一方、高齢者はIII度まで進みやすい傾向があります。そして、炎天下に過酷なスポーツや作業をしたときや、熱さを我慢し過ぎたときだけIII度に進行するわけではありません。体調や体力によっては、I度からIII度まで、あっという間に重症化してしまうことがあるのです。まだ軽症だからと油断してはいけません。熱中症と思われる不調が出て、具合が悪いと自覚したときは、症状を侮らずにすぐに対策することが大切です。
熱中症予防や、重症化予防に大切なポイントを挙げます。
- 気温が高い日は日陰や冷房のある屋内に移動する
- 湿度が高い室内では除湿機を使う
- 扇風機や団扇で風を起こし体温の上昇を防ぐ
- 直射日光を避け、日陰を選んで行動する
- こまめな水分・塩分補給を心掛ける
- 糖尿病や心臓病など基礎疾患のある人は持病の管理を徹底する
熱中症は「気持ち悪くなるだけ」で済むこともあれば、命にかかわる重症へと進むこともある病気です。「子どもの頃に何度もなった」「以前なったことがあるが、別に大丈夫だった」と油断してはいけません。暑さを侮らず、少しでも異変を感じたら涼しい場所への移動と水分補給を徹底しましょう。対処しても改善しない場合や、倒れて意識がない人を発見した場合は、迷わずに救急要請する行動が命を守ります。
さらに詳しく知りたい方は、「熱中症の重症度と対処方法」をあわせてご覧ください。







