年金

知らないと損する人も…年金版の家族手当「加給年金」をもらえる人・もらえない人

加給年金は「年金版の家族手当」とも呼ばれる制度ですが、本人や配偶者の年金の受け取り方によっては受給できないケースもあります。知らないと見逃しやすい受給条件を解説します。

All About 編集部

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「加給年金」もらえる? もらえない?(画像出典:PIXTA)
「加給年金」もらえる? もらえない?(画像出典:PIXTA)

老齢厚生年金を受け取る人の中には、配偶者がいることで「加給年金」を受け取れる場合があります。しかし、本人や配偶者が繰り上げ受給や繰り下げ受給を選んだ場合、加給年金を受け取れないケースもあるため注意が必要です。

ファイナンシャル・プランナーの服部貞昭さんは著書『知れば知るほど得する年金の本』(三笠書房)の中で、加給年金の受給条件について詳しく解説しています。同書より一部抜粋・編集し、加給年金の仕組みを見ていきましょう。

目次

まずは知っておきたい「加給年金」の基本

年金のもらい方には「繰り上げ」「65歳から」「繰り下げ」の3つのパターンがあります。配偶者がいる場合、配偶者の年金のもらい方にも3つのパターンがあります。

年下の配偶者がいる場合には加給年金をもらえるのですが、年金のもらい方の組み合わせ次第では、加給年金をもらえる場合ともらえない場合があります。

やや複雑ですので、それぞれのパターンごとに詳しく解説していきます。一番基本的な本人も配偶者も65歳から年金をもらうパターンから始めましょう。

加給年金の仕組みを再度簡単に説明します。会社員・公務員などで厚生年金に加入していた人は、65歳になると、老齢基礎年金と老齢厚生年金をもらい始めます。ここで、配偶者が65歳未満であれば、老齢厚生年金にプラスして加給年金をもらえます。

加給年金は配偶者が65歳になるまでもらうことができます。配偶者が65歳になると、配偶者自身が年金をもらい始めますので、加給年金は停止されます。

配偶者が1966年(昭和41年)4月1日以前生まれの場合は、加給年金の代わりに振替加算が、配偶者の老齢基礎年金にプラスされます。これ以降の説明では振替加算は省略します。

この仕組みを理解したうえで、繰り上げ・繰り下げを考えていきましょう。

本人が繰り上げ受給した場合はどうなる?

まず、本人が年金を繰り上げたパターンです。

年金の金額は、繰り上げた1カ月当たり0.4%減額されます。最大の60歳繰り上げでは24%減額されます。繰り上げでは、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り上げる必要があります。

ただ、加給年金を繰り上げ受給することはできません。加給年金は、本人が65歳になったらもらうことができます。その場合の加給年金の金額は、減額されず同じ約42万円のままです。

本人が繰り下げ受給した場合の注意点

次に、本人が年金を繰り下げたパターンです。

年金の金額は、繰り下げた1カ月当たり0.7%増額されます。最大の75歳繰り下げでは84%増額されます。繰り下げでは、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時または別々に繰り下げることができます。

老齢厚生年金を繰り下げた場合は、待機している期間中は加給年金をもらえません。

加給年金というのは、通常の厚生年金にプラスして支給されるものですので、そもそも厚生年金をもらっていなければ加給年金ももらえないのです。

ただし、老齢基礎年金だけを繰り下げた場合は、老齢厚生年金をもらいますので、加給年金も合わせてもらえます。

配偶者が繰り上げ受給すると加給年金はどう変わる?

次は、配偶者が繰り上げをしたパターンです。この場合は、ちょっと複雑です。

まず、配偶者がずっと専業主婦か自営業で厚生年金の加入期間がない場合で、老齢基礎年金を繰り上げた場合は、本人は加給年金をもらえます。

配偶者が過去に勤務して厚生年金に加入していた場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を同時に繰り上げます。その場合、配偶者の厚生年金の加入期間が20年以上あると、本人は加給年金をもらえなくなります。

加入期間が20年未満であれば、加給年金をもらえます。そのため、正社員で働いていて、厚生年金の加入期間が18年または19年のときは、パートに切り替えるか退職したほうがいいでしょう。

配偶者が繰り下げ受給した場合の扱いは?

さいごに、配偶者が繰り下げをしたパターンですが、こちらは配偶者が65歳から年金をもらう場合と同じです。

配偶者が65歳になるまでは、本人は加給年金をもらえます。配偶者が65歳になると加給年金はもらえなくなります。

参考までに、配偶者が65歳になると加給年金はストップし、代わりに、配偶者の老齢基礎年金にプラスして振替加算をもらうことができます。配偶者が繰り下げをすると、この振替加算をもらえなくなります。ただ、振替加算の金額は少ないため大きな影響はありません。

本人と配偶者の「繰り上げ」「65歳から」「繰り下げ」のパターンごとに、加給年金をもらえるかどうか表で整理しておきます。

※画像出典:『知れば知るほど得する年金の本』(服部貞昭・著/三笠書房)
※画像出典:『知れば知るほど得する年金の本』(服部貞昭・著/三笠書房)

この書籍の著者:服部貞昭 プロフィール
ファイナンシャル・プランナー(CFP〈R〉)、新宿・はっとりFP事務所代表、エファタ株式会社取締役。1977年、長野県須坂市生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院修了後、KDDIに入社。EZwebシステム構築、法人向けモバイルSE業務等に従事し、2014年に独立。現在は、お金に困っている人の相談にのりながら、身近なお金に関する情報発信に携わる。

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