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「謎の風邪」とは結局、何なのか? コロナ・インフル陰性でも3週間以上治らない“謎風邪”の正体に迫る

【医師が解説】2026年5月現在、全国で「謎の風邪」が話題になっています。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ検査は陰性なのに、症状が2~3週間以上続く人も。考えられる原因と背景を、分かりやすく解説します。(※画像:amanaimages)

秋谷 進

秋谷 進

医師 / 子どもの健康・医療ニュース ガイド

小児科医・児童精神科医・救急救命士。金沢医科大学卒業後、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院、三愛会総合病院、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て、たちばな台クリニック小児科。小児神経・児童精神を中心に診療に従事している。

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catch a  cold
すぐに治ると思っていたら、3週間も症状が続く……「謎の風邪」の正体は?

2026年5月現在、福岡市をはじめとする全国のSNSやメディアで「謎の風邪」「謎風邪」というワードがトレンド入りし、不安の声が広がっています。

この「謎の風邪」の正体は、いったい何なのでしょうか。正体不明とされる「謎の風邪」について、2026年5月現在分かっている情報からひもといていきます。

コロナもインフルも「陰性」なのに治らない! 「謎の風邪」の症状とは

「謎の風邪」の症状の特徴として、のどの強い違和感や痛みから不調が始まることが挙げられます。熱は微熱程度、あるいは発熱しないケースが多いようです。痰の絡む咳、鼻水、鼻づまりに加えて倦怠感が続くため、医療機関を受診し、検査を受ける人が多いのでしょう。しかし、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの検査を行っても多くは「陰性」の結果で、「咽頭発赤があるので、急性上気道炎ですね」と診断されるパターンが多いようです。

「風邪なら病院に行く必要もない。2~3日しっかり寝れば治るだろう」と自己判断したものの、想像以上に症状が長引き、不安になっている人もいるでしょう。風邪のような症状が2~3週間、長い場合は1~2カ月近くも続くのが、「謎の風邪」の最大の特徴です。

福岡だけで流行? 「謎の風邪=新たな感染症」の可能性はあるのか

定点報告によると、2026年5月現在、感染症法上の5類感染症に位置付けられた急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)が多数報告されています。急性呼吸器感染症というのは、鼻炎、副鼻腔炎、咽頭炎、喉頭炎などの「急性上気道炎」や、気管支炎、細気管支炎、肺炎などの「急性下気道炎」を指します。

急性呼吸器感染症の原因はさまざまです。よく知られているものとしては、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、RSウイルス、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナなどが含まれます。

しかし、全国と比較した福岡市の急性呼吸器感染症の報告数は、2026年第20週(5月11日~5月17日)で全国47.59に対し福岡市47.84(1定点医療機関当たりの患者数)です。実は、はっきりとした有意差は認められていません。したがって、福岡市で「謎の風邪」を引き起こす新興感染症が独自に流行している可能性は低いと考えられます。

「謎の風邪」の正体は、環境要因・アレルギー・ウイルス感染の複合パンチか

それでは謎の風邪の正体は何でしょうか? 謎の風邪が多数報告された5月は、黄砂、PM2.5に加えてシラカバやイネ科などの花粉の飛散がピークを迎える時期です。

さらに、急な気温上昇と寒暖差が続いたことに加え、ゴールデンウイーク後の疲れが重なり、自律神経の乱れが生じやすい時期でもあります。

現時点では「謎の風邪」はこれらの環境因子やアレルギーが関連していると考えられています。気道粘膜がこれらによってダメージを受け、ウイルス感染をきっかけにさらに過敏になり、咳、鼻やのどの違和感、倦怠感がいつまでも長引く人が増えているのかもしれません。

百日咳、マイコプラズマ感染症、咳喘息そして細菌感染などの可能性も

また、その他の考えられる原因として、百日咳、マイコプラズマ感染症、咳喘息、細菌感染なども挙げられます。

医学の進歩により、FilmArray®呼吸器パネルなどでさまざまな感染症が検出できる時代になっています。ヒトメタニューモウイルス、RSウイルス、百日咳菌、パラ百日咳菌、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、コロナウイルス、マイコプラズマなど多岐にわたる病原体の検出が可能です。中でもライノウイルスは、1年を通して風邪の原因の約30~40%を占めるウイルスであり、特に秋(9月~)と春(3月~5月)に流行が強まります。

ライノウイルス感染症には特効薬がなく、基本的には症状を和らげる対症療法が中心です。ただし、ライノウイルス感染による体力低下をきっかけに細菌感染が併発しているケースもあります。また、症状が長引いていたり悪化していたりする場合には、単なる風邪ではなく、全国的に流行している百日咳やマイコプラズマ感染症、あるいは喘息・咳喘息である可能性も考慮が必要です。

このように「謎の風邪」は、特別な新興感染症が流行しているというよりも、環境要因とアレルギー、そしてウイルス感染が重なるダブルパンチないしトリプルパンチによって発生していると考えられます。

もし症状が長引いてつらい場合は「ただの流行りの風邪」と自己判断せず、医療機関を受診することを検討した方がよいかもしれません。

■参考文献
1. 国立健康危機管理研究機構.感染症情報提供サイト
2. 福岡市.福岡市保健所.感染症発生報告数(定点報告)
3. ライノウイルス感染症.日本小児科学会

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