ビジネスマナー

「どうぞどうぞ」「いえいえ」譲り合い合戦でコントのよう…名刺を下から出すマナー、正直必要ですか?

社会人が身に付けておくといいとされる「ビジネスマナー」の中には、本当に必要なのか疑問の声が上がる“謎マナー”なるものも存在しているようです。そんなビジネスマナーの疑問について、All About ビジネスマナーガイドの美月あきこが解説します。※画像:PIXTA

美月 あきこ

美月 あきこ

ビジネスマナー ガイド

17年間の国際線客室業務員経験をもとに人財育成トレーナーとして活躍。ベストセラーとなった「ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣」執筆。 日本経済新聞、日本商工会議所などでマナー記事を連載。

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互いに名刺を下から差し出し合って、さながらコントのよう…… ※画像:PIXTA

互いに名刺を下から差し出し合って、さながらコントのよう…… ※画像:PIXTA

社会人が身に付けておくといいとされる「ビジネスマナー」。中には知らないと恥をかいたり、仕事に影響が出たりするものもあれば、一方で、本当に必要なのかと疑いたくなる“謎マナー”なるものも存在しています。なるべく気持ちよく仕事ができるよう、ビジネスマナーに関するもやもやを優しく解きほぐしていきます。

今回はAll About編集部に寄せられたエピソードの中から、「名刺の渡す位置」に関するお悩みを紹介しながら、All About ビジネスマナー ガイドの美月あきこが解説します。

互いに下から出そうとしてコントのように

【今回のお悩み】
「名刺交換の際に、相手の名刺より上に自分の名刺を出してはいけないのが疑問です。お互いに下に出そうとしてコントのようになる時があります。意味あるのでしょうか?」(40代女性/青森県)

「譲り合い合戦」には日本ならではの意味が

名刺交換の場で、互いに「どうぞどうぞ」「いえいえこちらこそ」と、名刺を下から差し出し続け、まるでコントのようになる場面に出くわしたことはありませんか? この「譲り合い合戦」は、実は日本ならではの意味が込められています。

まず、「名刺を下から差し出す理由」ですが、これは名刺そのものを「その人の分身」として丁重に扱う、という日本のビジネスマナーの基本に根ざしています。相手の名刺より自分の名刺を上に重ねることは、自分が上とする「上下関係」を表す行為として受け取られかねません。そのため、相手を立てる意味でも、自分の名刺は少し下から差し出すのが礼儀とされているのです。

次に「名刺を渡す際の基本の高さ(位置)」について。基本は、お互いが自然に目線を下ろせる高さ、つまりおへそから胸のあたりです。高すぎると威圧的になり、低すぎると相手がかがまなければならず負担をかけてしまいます。大切なのは、相手との「視線と手の高さ」を合わせるようにすることで、互いに尊重し合う名刺交換となります。

相手がどうしても下から名刺を出そうとするときは

では、相手が頑なに自分より下から名刺を出そうとする場合は、どうすべきでしょうか。あまりに譲り合いが続くと逆に不自然です。その上、相手の貴重な時間がもったいないです。そのようなときは、笑顔で会釈しながら「お気遣いありがとうございます」と一言添え、受け取りやすい高さで自分からスッと差し出しましょう。形式にこだわりすぎず、ざっくばらんな柔らかい空気を生むことができるでしょう。

名刺交換は儀式ではありますが、目的はあくまで「関係の始まり」です。ルールに縛られすぎず、相手の立場と場の空気を読むバランス感覚が、スマートな振る舞いとなります。

<調査概要>
ビジネスマナーに関するアンケート
調査方法:インターネットアンケート
調査日:2025年5月12日
調査対象:全国20~60代の250人(男性:90人、女性:158人、その他:1人、回答しない:1人)
※コメントは原文ママ
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