子どもらしい子どもとは
「子どもらしい子ども」とはいったい何を指すのだろうか?
子どもらしくない子どもとは
「子どもらしい子ども」を知るために、「子どもらしくない子ども」について考えてみよう。大人が子どもらしくないと感じるのは次のような時だ。
・妙に遠慮がち
・言動が大人びている
・大人の顔色をうかがう
・陰ひなたがある
・表情が硬い
・他の子を見下している
こんな子どもが増えているのは確か。これらの対極にあるのが「子どもらしい子ども」ということになる。
子どもらしい=素直
「子どもらしい子ども」を一言で表すと、「表裏がなく素直な子ども」ということ。家の中でも外でも態度が変わらず、誰に接しても振る舞いを変えない子ども。いわゆる「いい子」とは少し異なる。ひょうきんでおかしなことをしても、誰に対してもそうであれば素直な子どもということだ。作り笑いをしたりせず、心と顔が一致しているということ。
小学校受験に際して行動観察で訓練が必要ということは、これまで心と態度が一致するように育ってこなかったということだ。あるいは受験のお勉強をしているうちに、素直さを壊してしまったのかも知れない。
目をキラキラ輝かせ笑顔が素敵な子どもは、訓練では生まれない。そんな子どもが知的な能力を持ったら、「オーラのある子」になるだろう。どこの学校にも受かってしまう、そんな親子は確かに存在する。
素直な子どもに育てる
では、素直な子に育てるにはどうしたら良いだろうか。突然犬の話しを持ち出して恐縮だが権勢症候群(アルファシンドローム)という言葉をご存じだろうか。一見飼い主の言うことを聞かなくて困らせる行動をとる犬のことだ(権勢症候群というものは存在しないという主張もあるが、ここではその議論はしない)。犬が飼い主よりも優位に立っていると勘違いして起こると言われているが、実はそう見える行為を飼い主が喜ぶと思ってやっているのだろう。あくまで犬は飼い主に忠実なのだから。
人の子どもでも好き勝手にさせていれば、手に負えないことをするようになり、きつく叱らなくてはならなくなってしまう。圧倒的な体力差がある親の権威に従わせるわけだ。これでは親の顔色を伺う子どもになっても仕方がない。
だからといって、親が最初から先に立って手を引っ張っていっては子どもの自主性が育たない。危険なところでは親が先に立ち、安全と思えば少し前を行かせ、子どもが好奇心を働かせ何かを見つけたら脇に立って一緒に感動してあげる。そんな子育てが理想だと考える。
叱る時は特に注意する。同じ行為をある時は叱り、ある時は見逃すなどのダブルスタンダードにならないように注意する。そして子どもと同じ目の高さに下りて、その行為を叱り子どもの存在を否定したりしない(「だからあなたはダメなのよ」「あなたなんか生まなきゃきょかった」など)。叱った後に「あなたを好きよ」というメッセージをしっかり伝える(「分かってくれてありがとう」と抱きしめる)ことが大切なのです。
子どもの夢を摘み取らない
子どもがサッカーが好きであれば、その夢を認めて伸ばす。夢を摘み取らないように
そんな時に「サッカー選手なんて大変だからやめなさい」とか「あなたはお医者さんになるんだからケーキ屋さんなんてダメ」などと否定しないこと。成長する内に夢はどんどん変わっていくのだから、親も素直に「観戦できる日を楽しみにしているね」「じゃあ、美味しいケーキを食べさせてね」と応じればいいのだ。意欲の芽を摘みとらないようにすることが親の役割のはず。
親の価値観を押しつけていては、「子どもらしさ」などどんどん失われてしまう。親が何気なく発する言葉に子どもは敏感に反応することを忘れないで欲しい。
また、子どもに何か得意なことがあればそれを大いに認めて自信を持たせてやろう。ヨーヨーが上手だったり、なわとびが上手だったりでも結構。「すごいねー。次は何を見せてくれるの?」と言えば新しい技に挑戦するだろう。そうやって意欲と自信を育てることができる。
得意なものがなければ植物でも動物でもいいから生き物を飼うのもいいだろう。「こんなに大きくなったね。○ちゃんが毎日めんどうみているからよ」と生き物を通じて自信をつけられるからだ。
このように自己肯定感を持てる子は、子どもらしさを失わない素直な子どもに成長する。その上で受験対策に取り組めばよい。ただでさえ、受験体制に入ると子どもにプレッシャーとストレスを与えてしまう。自信も自己肯定感もない子は簡単に押し潰されてしまっても不思議はない。
アルファシンドローム犬のトレーニング方法も同じ。犬が喜んで行動するようにプログラムし直すそうだ。無理矢理言うことを聞かせても上手くいかない。危険や不愉快を叱ると言うよりは飼い主の気持ちを伝え、自分からいけないと悟らせるそうだ。
人も犬も権威で従わせるのではなく、他人の気持ちに共感する心を育てしつけをしていくのが理想ではないだろうか。
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