お話の記憶とは

お話の記憶が苦手にならないために

お話の記憶が苦手にならないために

話の記憶問題集
小学校入試問題の定番に話の記憶がある
 小学校入試問題の定番として「話の記憶」があります。テープや口頭で先生の話を聞いて、その内容について質問されるものです。話の長さは学校によって異なり、短いものから絵本1冊分に相当する長いものまであるのです。

 実例を挙げてみます。次の文を読んで下さい。

「森の動物たちがかけっこをするのであつまってきました。はじめにウサギさんがやってきました。2番目にゾウさんがきました。そのつぎにネズミさんがきました。最後にライオンさんがやってきて、「キツネさんとパンダさんはお腹をこわしてお家で寝ている」と言いました。

ブタさんが「ようい、どん!」と合図をすると残りの動物たちが走り出し、ウサギさん、ライオンさん、ゾウさんの順にゴールしました。ウサギさんが「ぼくライオンさんに勝てるとは思わなかったよ」と言ったので、みんなが笑いました」

上の文を耳から聞いて質問に答えるわけです。例えばこんな問題です。

■絵を見てかけっこで走らなかった動物に○をつけましょう
■絵を見てかけっこで2番目にゴールした動物に△をつけましょう。

幼児は字が書けないという前提で出題するので、配られた紙の絵を見て印をつけることになります。絵を見ながら話を聞く場合と、絵は回答する時に見る場合があります。上の問題をなんとなく聞いていたのでは、名前の出てきた動物が全て登場したと思いこんでしまったり、ゴールした順番を意識せずに忘れてしまったりします。

この例はかけっこのシーンしかなく問題文として短いもの。場面転換し複数のシーンで異なるエピソードが展開することもあります。ですから何の準備もなしで、この形式の問題にぶっつけ本番で挑むのはかなり無謀です。
   

お話の記憶の出題意図

絵本などを通じての親子の心の交流が大事

絵本などを通じての親子の心の交流が大事

「話の記憶」と呼ぶことから記憶力の問題と勘違いする人がいます。実際は記憶力のテストというよりも理解力のテストと考えるべきです。「話の理解」とした方が誤解しにくいでしょう。これは学校側の出題意図を考えれば納得できるはず。

■家庭で本の読み聞かせをしているか
■言語能力がしっかり身に付いているか
■豊かな感受性が育っているか
■先生の話を集中して聞くことができるか
■先生の話を理解することができるか

絵本などを通じて親子の心の交流があるか、話からイメージを膨らませられるしなやかな心が育っているか、上に挙げたようなポイントで子どもを見るのです。話の記憶が苦手だからと、同じ問題をコピーして繰り返し練習しても意味はありません。どうしたら話の内容を理解できるようになるかを考えましょう。
 

お話の記憶での問いの種類

一口に話の記憶と言っても様々なバリエーションがあります。何を問うかで分類してみます。

■登場人物…誰がいたか、誰がいなかったか、誰が途中から加わったか、誰がいなくなったか
■行動/できごと…なにをしたか、なにをしなかったか、何が起きたか、何が起きなかったか
■順序…どんな順番で誰が来たか、できごとの順序、時間の経過
■数量…いくつあったか、いくつ増えたか、いくつ減ったか
■その他…地図に話の経路を描き入れる、間違い捜し、時計、話の通り絵を描く、話の続き創作 他

こうしてみると単純な記憶問題ではなく、様々な領域の複合問題だということがおわかり頂けるでしょう。中学受験で考える力を試す問題に相当します。単なる知識の詰め込みではなく、それらを応用する力を試しているのです。
 

話が苦手なタイプの子どもとは?

話の記憶が苦手というお子さんはどんな子どもでしょうか。苦手のタイプには2種類あります。第一のタイプはこれまで絵本にあまり触れてこなかったり、完成型の玩具ばかりで遊んでいて何かを工夫する機会が少なかった子どもです。完成型というのはキャラクターのロボットや携帯ゲーム、ラジコンなど。積み木、ブロック、粘土など自由に形が変えられる玩具は様々な工夫をして遊びます。その過程で失敗もします。経験が豊かになります。ごっこ遊び、おままごともロールプレイングとして最高です。

第二のタイプは、話の記憶の問題をやりすぎている子どもです。何かのきっかけでこれが苦手なのではと思って、集中的にやらせてしまっていませんか? また絵本を読み聞かせても、しょっちゅう「今の話には誰が出てきたのか教えて」とお勉強になってしまっていませんか?絵本を読むことが楽しくないと、理解することが難しくなります。何を聞かれるのかびくびくして話に集中できなくなるからです。
 

集中して聞く姿勢を養い話を楽しむ

リラックスして絵本を楽しむことから始める

リラックスして絵本を楽しむことから始める

まずは話に集中して聞く姿勢を養いましょう。そのためには親子共にリラックスして絵本を読み聞かせます。向かい合って読むより、ソファーに隣り合って座ったり、子どもを膝に載せて読んでやるといいでしょう。

集中して聞けるようになったら、内容に関する質問をしても構いません。質問は「どうでもいいこと」ではなく、ストーリーの中で重要なポイントに絞って聞きます。答えられなくても叱らずに、「絵本のどこかにあったよ。自分で探しててごらん」と促します。

また、読み終わってしばらくしてから「子ぶたちゃんがもらったものって何だっけ? お母さんは忘れてしまったから教えて!」と確認してもいいですし、親の方から「~という話だった」と要約してあげるのもいいですね。

そうして話の中で、どこが面白かったか、どの場面が好きか意見を言い合いましょう。絵本のストーリーを楽しむことで、ますます本が好きになります。
 

問題の練習方法

苦手な場合は解答用紙の絵を見ながら話を聞くようにします。最初は少しゆっくりがいいでしょう。テープ使用の場合は、1度目は親が読みます。そうして話に出てくるものを順番に指さしながら聞きます。しっかり聞いていないと指さすことができないので、集中できるようになります。慣れてきたら指さしはしなくても構いません。

このように話を聞いた後に問いをやります。終わってもすぐに○付けをするのではなく、今度はテープで話を流します。テープを使用しない場合は、先ほどよりもテンポを速めて読みます。この時に解答の確かめも同時にします。違っていたらその場で子どもに直させます。間違いに×を付けられないので子どもが萎縮しないで済みます。終わったら(直しがあるにしても)全部正解になっているので「よくできました」とほめてやりましょう。これで自信が付きます。

問題に慣れてきたら絵を見ずに話だけ聞いて解答します。練習を続けると、どんな質問をされることが多いのか把握できるようになるからです。絵を見ないで話を聞く時に、ポイントとなるところで指を折るなど、ただ話を聞くだけではなく身体を使って記憶するのもひとつの方法です。例えば人物が登場する都度指を折っていけば、ただ数えるだけではなく「人差し指の時にウサギが出てきた」と順序記憶の手がかりになります。
 

話の理解力を伸ばす育児

型にはまらない遊びが大切

型にはまらない遊びが大切

話の記憶は言語能力を総合的に見る問題です。練習問題だけでなく日常生活で言語能力を伸ばすことも同時に進めましょう。

話の内容を理解する時に必要なのはイメージする力=想像力です。普段から想像力を身につける遊びをすると良いのです。前述した自由度が高い玩具の積み木、ブロック、粘土がそうです。家の中ばかりで遊んでいないで、砂場で遊んだり自然と触れあうのも有効です。また動物園、水族館、植物園、博物館、美術館、コンサートなど、情操を養う経験はどれも無駄になりません。

話の中に出てきたものがイメージできる豊かな感性を養うことは、小学校受験するかどうかに関わらず、お子さんの将来にきっと役立つものになるはずです。

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