自動車保険の改定どうなる?
一般的な自動車保険の改定の仕組み
はじめに任意の自動車保険がどのような流れで改定されるか確認しましょう。損害保険料率算出機構は、同機構の会員保険会社からデータを集めており、毎年自動車保険の参考純率(*)を検証しており、改定の必要があればそれを金融庁長官宛てに行います。*保険料のうち将来の支払いに充てられる部分で、これに各社が事業費に相当する部分を加味して改定を実施。
その後届出に対して適合性審査が実施され、各損保は自社の自動車保険について参考純率を使用することができ(使用しなくてもよい)、一定の期間経過後に自動車保険の改定を実施します。
ただ、自動車保険は自由化しているので、参考純率を使用せずに各社が自由に改定を実施することができます。そのため自動車の保険料率は各社独自に料率改定を行うことが少なくありません。直近では2024年1月に自動車保険料率の改定や商品改定などを実施した損保もあります。
直近で実施される予定の改定
2023年6月の参考純率改定の届出では、自家用軽四乗用車の型式別料率クラスを現在の3クラスから7クラスに拡大され、この適用が2025年1月1日以降となっています。同様の改定が自家用乗用車ではすでに行われており(9クラスから17クラスに拡大)、これによって乗っている自家用軽四乗用車の型式によって保険料に影響があります。型式別料率クラスは下記より検索して確認することができます。
【参考】
損害保険料率算出機構 型式別料率クラス検索
さらに次の自動車保険の改定の内容
詳細な改定実施日は未定ですが、上記の改定後に2024年6月の参考純率の改定が実施される見込みです。具体的な改定の主な内容は次のようになります。- 自動車保険の参考純率を平均5.7%引き上げ
- 料率区分ごとの較差(割増引率等)を見直し、新車割引は割引率を拡大
- 自動運転車の普及対応のため「被害者救済費用特約」の新設
- 特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)の区分を新設
- 限定特約や被保険者年齢の細分化
改定の内容で一番気になるのは保険料負担でしょうが、参考純率が5.7%引き上げられています。ただし参考純率の改定と実際の自動車保険の平均改定率は一致しないので注意してください。ほかにも、新車割引率が拡大する一方、限定特約や被保険者年齢の細分化(運転者年齢ではありません)など、保険料に大きく影響する改定があります。
新車割引は一定の期間経過後に適用から外れるため、その意味では長期的には保険料負担が増加する要素の方が多いと考えます。
自動車保険の改定の背景
2024年6月24日に届出された自動車保険の参考純率の改定を参考に、その背景を見ていきます。主な改定の背景は次の3点です。- 車両修理費の高額化、急激な物価上昇による修理費の上昇
- 直近の保険統計におけるリスク実態の反映と自動運転社会を見据えた補償の拡充
- 道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)等の改正への対応
最新の自動運転技術が搭載された車両は車のあちこちにセンサー等があり、旧来の車に比べて修理費が高額になりがちです。これに加えて昨今の物価高により対物賠償責任保険と車両保険の保険金支払い1件あたりの修理費が増加しています。
リスク実態についてはさらに「新車割引」「被保険者の年齢較差」「運転者限定」の3つがあります。新車割引は拡大、被保険者の年齢区分を細分化(特に60歳以降)、運転者限定割引率の縮小です。
損保によって年齢区分の細分化は独自にやっていますが、これを明確にしたかたちです。運転者限定(本人・夫婦)はリスク較差が縮小しているようです。
リスク較差が縮小しているということは、付帯していてもリスクが大きく変わらないので恐らく今後は割引が縮小されていくと考えられます。
また自動運転化による損害賠償(責任の所在)する際の補償、2024年4月から自賠責保険に一般原付と別の保険料区分(電動キックボード等)が設けられていますが、これに任意の自動車保険も合わせたかたちです。
今後の自動車保険の改定に向けて
最近の自動車保険の改定は1月に実施されていることが多いので、自家用軽四乗用車の型式別料率クラスの拡大は早ければ2025年1月にも導入される可能性があります。その後の改正は2026年以降との話もあるようですが、具体的に日時は現時点で未定です。いずれにしても所有している車、また契約している内容によって保険料改定の影響が変わります。
2024年度は火災保険の改定も控えており、車を所有している人は2025年、2026年以降の改定を見据えて家計負担を考える必要がでてきています。
人によってこれらの改定がすべて保険料負担の増加となるケースがあるでしょうから、早めに改定実施が自分の契約にどのくらい影響があるか確認して対応するようにしてください。