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教育費を考える上で一番大変な時期は、高校卒業後の大学の時です。高校までと違い、高額な学費が必要となります。さらに、自宅から通学できないとなれば、仕送りも必要になってきます。子どもが東京の大学に進学した保護者たちは、仕送りをどれくらいしているのでしょうか? 東京私大教連が、2023年4月に東京を中心に首都圏の私立大学・短期大学に入学した新入生を対象に調査した「私立大学新入生の家計負担調査 2023年度」から、仕送りの実態をみてみましょう。
仕送りの平均は月8万9300円。上昇傾向にある?
表は、2023年4月に首都圏の私立大学・短期大学に入学した新入生の6月以降の1カ月あたりの仕送り金額の平均です。5月は教材の購入などで仕送り額が多くなるため、出費が落ち着く6月以降の月平均の仕送り額となっています。2023年度の仕送り額の平均は月8万9300円で、前年2022年度より700円、2年前の2021年度より3100円増えています。物価の上昇とともに、仕送り額も少しずつですが増えています。ちなみに、出費が多いとされる5月の仕送り額は2023年度で10万円。新生活が始まる時期は、多めに準備しておく必要がありそうです。
1994年度の仕送り額は平均月12万4900円!
1986年度からの同調査で、6月以降の仕送り額平均金額が一番高額だったのは、1994年度の12万4900円。この1994年度と比べると、2023年度の仕送り額は3万5600円、約3割も減少しています。1994年をピークに仕送り額は減少しています。家賃平均月6万9700円、仕送り額の8割近くを占める
生活費で一番高額なのは家賃。2023年度の家賃の平均は6万9700円で、仕送り額8万9300円の78%にも達しており、首都圏の家賃事情が学生の生活を厳しくしています。ちなみに、この2023年度の家賃、1986年度からのデータでの中でも一番高額。1986年度の家賃が3万4700円。家賃が2倍にもなっています。仕送りが一番高額だった1994年度の家賃は5万7200円。仕送り12万4900円でしたから、家賃は仕送り額の45%。1994年度の学生は、仕送りの半分以上を生活費に使えていたようです。
1日あたりの生活費は650円!毎月の生活はかなり厳しい?
2023年度では、仕送り額月8万9300円から家賃月6万9700円をひいた月1万9600円が生活費となります。これは、1日あたり約650円ということ。一人暮らしでは、水道光熱費や通信費などの固定費も必要になります。そうなると食費や趣味、書籍にかける費用はほとんどないといえるでしょう。学生の毎月の生活はかなり厳しいものとなる可能性が高いです。実際には、アルバイトなどで生計を維持していると思われます。しかし、生活を維持するためのアルバイトに時間が取られ、本来の学業がおろそかになっては本末転倒です。厳しい家計状況ではあるでしょうが、できるだけ勉学の時間も確保したいものです。都心では、家賃の高さが生活を厳しくしています。都心での下宿を考えるなら、このような現状を把握し、お金のシミュレーションをしておきましょう。