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若き青年、出版に至るまでの秘話
それは、阿川氏と友人のたわいない話から始まりました。当時、塾講師をしていた阿川氏、生徒向けに用意した、たくさんの資料がありました。阿川氏の授業は非常にわかりやすいと人気だったのです。それは、わからない人に向けて、噛み砕いてわかりやすい言葉を使い、英語の専門用語ではなく、阿川氏流の言葉で文法にアプローチしていたからでした。本来、退屈なはずの英文法の授業はいつも笑いの耐えないインパクトのある授業で、生徒たちの心を掴んでいたのです。友人と飲んでいるとき、「おまえ、これ本にしたらいいじゃないか!」とその友人は言ったんだそうです。「本か!そんなことができたらいいな。」と遥か遠くを見る阿川氏。しかし、これが彼の執筆活動への静かな幕開けでした。
英語嫌いが講師に転身
さて、そんな阿川氏、実は英語は大の苦手だったのです。大学生のとき、家庭教師として中学1年生の英語をみることになりました。中1の英語くらい簡単でしょう、とたかをくくって望んだ彼は、愕然とすることになります。教えることの難しさ、わからない生徒に納得してもらうアプローチの仕方、課題は山積みでした。なんとか、わかりやすい授業をするために、あの手この手を考え、1時間の授業の前に、4時間準備をする。そんな努力があったからこそ、阿川氏の授業は支持をされていくのでした。
2年の猛勉強で TOEIC 435 ⇒ 925
また、こんな話もあります。初めて受けた TOEIC、結果は 435 点。ガーン!これではいけないと、それから必死になって勉強しました。その後1年3ヶ月後には、850点、その後さらに1年後には、925点になりました。たった2年3ヶ月で500点近くも伸ばしたのは驚異的です。
でもかなり勉強したといいます。1日に 6時間勉強するなんて当たり前、10時間勉強したこともありました。週に 40時間勉強することを自分に課していたんだそうです。こんなに勉強したのは生まれて初めてでした。受験期にもこんなに勉強したことはない、と語ります。
著者の影に恩師の姿あり
阿川氏が本を出版しようと思った背景には、恩師の姿も影響していました。この先生との出会いがなかったら、今の自分はいなかっただろう、というくらい、彼に影響を及ぼした人がいたのでした。現在、同志社大学、神学部の中田考教授。当時は山口大学で教鞭をとっており、阿川氏は学生時代にこの先生の部屋をよく訪れたといいます。先生と話をしながら、自分の好きなことを職業にし、ご飯を食べていけたら、いいなぁ~、と漠然と思ったといいます。その当時、本を何冊か出版していた先生は、阿川氏にとって憧れの人。本を出すってカッコいいなぁ~と思ったといいます。その阿川氏がのちに、本を出版する、しかもヒット語学書を手掛けるようになろうとは、このときは知るよしもなかったのです。
1年間執筆活動に専念
さぁ、塾で講師をしながら、日ごとに溜まっていく資料。この資料をもとに本にしようと本気で考える阿川氏。思い切って1年間休業を取り、執筆活動に専念することに決めました。出版社めぐりをしようと地元、山口を後にし、東京へ移り住みます。もう後戻りはできません。なんとかして、これを本にして売らないと、彼の生活がかかっているのです。必死な思いと大変な覚悟とともに上京したのでした。何社かに打診したところ、彼の原稿は英語出版業界最大手のアルクの目に留まります。しかも、担当者はアルクでも数々のヒット作品を手がけている敏腕編集者でした。さぁ、好条件が整いました。
夢だった出版が現実となりつつある。
しかし、阿川氏の原稿はおもしろいものの、まだまだ世に出すには荒削りだし、文章も硬かったり砕け過ぎていたり、バランスがイマイチ。全部書き直す気があるかとの厳しい言葉が返ってきたそうです。
長いこと温めてきた阿川氏の作品、書き直すことによって、日の目をみることができるのなら、いくらでもやりましょう、と、すべてのことを投げ打って、執筆活動に入ったといいます。
1年間、執筆に専念し、世に生まれた本が、この 2冊です。この本が人々に愛され、家庭の医学書と同じように、一家に1冊(いえ、2冊で一組)置かれるようになることが次の阿川氏の夢なのかもしれません。
<編集後記>
阿川氏のお話を通して、人生の成功者からみえてくる、ある共通点を見出しました。
■ 何かを真剣に探求していますか?
■ 自分が好きなことに対する熱い思いがありますか?
■ ロールモデルがいますか?
この3つがそろっていれば、あなたの英語も動き出し、形になるときが必ずくるはずです。
本当はメディアに登場するのは、苦手なんです。実はけっこう上がり性で・・・。それに、この本を書いた人は誰?って、ちょっと謎があったほうが格好よくないですか?と言う阿川氏。
さらに、こんな言葉を続けていました。
本は、著者だけの力で売れるものではありません。優秀な編集者がいて本が出来上がり、宣伝してくれるメディア部門の人々の働きが陰にあり、書店めぐりをしてくれる営業の力があり、人目につきやすい、ベストポジションに本を置いてくれる書店さんの協力があり、売れていくものだと、今回多くのことを学びました。
人々に感謝することを忘れない阿川氏でした。とてもさわやかな午後のひとときをご一緒させていただきました。
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