その昔、「百万人の英語」というラジオ番組があった。30代以降の読者は、この番組で英語を勉強した方も多数いるだろう。この「百万人の英語」、放送が終了してからしばらく経つが、2002年6月、インターネット上で「100万人の英語」として復活した。
「百万人の英語」が、今、なぜ復活をしたのか、そして、ラジオ放送「百万人の英語」は日本の英語教育にどのような影響を与えたのか、教育測定研究所の栗林マネージャーにお話をうかがってきた。
-- お忙しいところ、よろしくお願いします。まず、「百万人の英語」の放送が開始されたのは?
栗林:昭和33年です。ちょうど高度成長の始まりの時期にあたります。旺文社の提供、文化放送によりラジオ放送が開始されました。
-- 昭和33年というと、長嶋がジャイアンツに入団した年ですね。
栗林:そうです。何かの偶然かもしれませんが、昭和という時代が復興するターニングポイントの時代です。
-- そもそも「百万人の英語」が放送開始のいきさつは?
栗林:旺文社の創立者である赤尾好夫が英語学習の地域格差を解消する目的で、放送を開始しました。
-- 英語学習の地域格差?
栗林:ええ。当時、全国各地に英会話学校なんてありませんでしたし、テレビは普及率が低く、テープレコーダといえばカセットではなくオープンリールの時代。誰もが買える代物ではありませんでした。ネイティブの英語を聞く手段といえば、ラジオ放送ということになりました。
-- 吉幾三の歌のような時代ですね。
栗林:そうですね。このような時代だから、ラジオ放送で、全国に向けて英語の学習番組を流す意味があったと自負しています。また、「百万人の英語」自体、テキストに沿って勉強するガチガチの学習スタイルでなかったことが、英語に対する敷居を低くし要因になったと思います。
-- 放送の方はどのような状態でしたか?
栗林:大学進学率の向上、また、英語教育熱の高まりとともに順調に聴取率は上がりました。結果的には、日本人の英語力の底上げに貢献できたと思っています。