英語の仕事で生計を立てている身で不謹慎かもしれないが、英文を読むのが面倒に思えることがある。サクッと日本語で読めたら、どんなに楽かと思うときがある。
ずいぶん昔(Windows 3.1時代)になるが、翻訳ソフトを手にしたことがある。完璧な訳は無理でも、下訳くらいできれば、どんなにラクか! と、期待に胸をふくらませたが、訳文を読むよりも、英文を読む方が簡単だった。それがトラウマになったがどうかは分からないが、それ以来翻訳ソフトには手を出すことはなかった。
しかし、この間、翻訳ソフトもきっと進化しているはずだ。OCRソフトだって実用レベルになっているし、音声入力ソフトも使えるソフトになった。
そんなわけで、「訳せ!!ゴマ」シリーズで翻訳ソフトの実績のあるエー・アイ・ソフト株式会社さんに取材を申し込んだ。取材に応じてくださったのは、翻訳プロダクト開発責任者玉川博康さん。翻訳ソフト開発の第一人者の方である。
-- お忙しいところよろしくお願いします。「読んde!!ココ Ver.8」とか「デジカメde!!同時プリント5」、それに、「DiskX Tools Ver.7」を使わせてもらってます。
玉川:そうですか! どうもありがとうございます。
-- さて、翻訳ソフトで英文を日本語に訳すとき、”シュール”な日本語になることがありますが、パッケージに記載されているサンプルのような訳文にするには、何かコツのようなものがあるのでしょうか?
玉川:いくつかの作業をお客様の方でしていただくことで、翻訳の精度はかなりアップします。
-- 具体的には?
玉川:辞書登録を、ユーザー辞書の作成ですね、行なって、翻訳できない単語等を極力少なくし、訳語の質を高めることです。
-- たとえば?
玉川:そうですね、"official sponsor"という単語が辞書にない場合、そのまま訳すと、"official"の訳語「公の」と"sponsor"の訳語「スポンサー」が使用されて、「公のスポンサー」という訳語が作成されます。
-- 意味は分かりますが、何となくしっくりきませんね。
玉川:ええ、この訳語でも意味は通じますが、"official sponsor"を「オフィシャルスポンサー」と登録すると、"That company became an official sponsor of the golf tournament."の翻訳結果は、「その会社はゴルフトーナメントの公のスポンサーになりました」から「その会社はゴルフトーナメントのオフィシャルスポンサーになりました」とよくなってきます。
-- こちらの方がずっと日本語らしい。その他には
玉川:頻出する例文も、例文登録することで訳質は向上します。